E1748 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2015/11/30現在)

カレントアウェアネス-E

No.295 2015.12.24

 

 E1748

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2015/11/30現在)

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1723ほか参照)に続き,2015年8月下旬から11月下旬までの主な情報をまとめた。

●被災地の図書館等の活動

 8月24日から9月11日まで,陸前高田市が「新陸前高田市立図書館基本構想」を策定するにあたり,パブリックコメントを実施した。
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/shisei/kakuka-oshirase/syougai-gakusyuu/tosyokan/tosyokan-kousou.html

 8月31日,在札幌米総領事館ハービー・ビーズリー領事が,石巻専修大学図書館の「テイラー文庫」を訪問し,震災の立体模型を見学した。
http://www.senshu-u.ac.jp/ishinomaki/ilibif/lib/info/20150317.html

 9月26日,福島県の会津坂下町に,復興支援で寄せられた本を元手とした「本の森図書館」がオープンした。
https://www.facebook.com/1439317293040325/photos/a.1443838015921586.1073741828.1439317293040325/1476701605968560/?type=3

 10月21日,岩手県大槌町が,2018年4月に開館予定の町立図書館,ホール等の複合施設「(仮称)御社地エリア復興拠点施設」の整備に関する情報を発信する「(仮称)御社地エリア復興拠点施設通信」を創刊した。また,11月12日には,町民の意見を聴取し,設計に取り入れることを目的とした「(仮称)御社地エリア復興拠点施設基本設計ワークショップ」を開催した。
http://www.town.otsuchi.iwate.jp/docs/2015102100020/
http://www.town.otsuchi.iwate.jp/docs/2015102100020/files/ofk_journal.pdf
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=860427720673249&id=805875296128492
http://www.town.otsuchi.iwate.jp/docs/2015102100051/

●デジタルアーカイブに関する動き

 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に,新規コンテンツとして以下が追加された。

  • 国際航業株式会社が,岩手県・宮城県・福島県の被災した72地点に対し,2011年3月から2015年3月にかけて定点的に撮影した航空写真(斜め写真)(9月8日)
  • 東日本大震災により被害を受けた,岩手県・宮城県・福島県の11地点に対し,震災前と震災直後から2年後までの4回にわたって,写真企画株式会社が,定点的に撮影した航空写真(斜め写真)(10月23日,館内限定公開)

http://kn.ndl.go.jp/information/404
http://kn.ndl.go.jp/information/421

 その他,国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)で,8月26日,仙台市情報・産業プラザで7月27日に開催した「東日本大震災に関する書類・写真・動画の整理・保存講習会」(E1708参照)の配布資料及び講習会の模様を撮影した動画が公開された。
http://kn.ndl.go.jp/information/408

●記録を残す活動・伝える活動

 8月27日,福島県富岡町と福島大学が,富岡町域の歴史・文化等,地域の人々の営みを示す地域資料を後世に継承することを目的とした歴史・文化等保全活動に関する協定を締結した。

http://www.tomioka-town.jp/publicity/Files/2015/10/01/kouhou27.10.pdf
https://www.facebook.com/fukushima.miraigaku/posts/947977601911068

 11月4日,東北学院大学が,同学の学生が携わってきた東日本大震災被災地域における文化財レスキュー活動関連の研究資料や記録を「東北学院大学学術情報リポジトリ」で公開した。
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/151104-1.html

 11月14日,せんだいメディアテーク内の「3がつ11にちをわすれないためにセンター」が,同センターの約4年間の記録や活動をまとめた「3がつ11にちをわすれないためにセンター活動報告冊子」(2015年2月発行)をウェブサイトで公開した。
http://recorder311.smt.jp/blog/44763/
http://recorder311.smt.jp/wp-content/uploads/w_reports2015s.pdf

●資料保存に関する動き

 9月6日,双葉町教育委員会及び筑波大学図書館情報メディア系が,福島県双葉町の帰還困難区域内から救出・保全してきた古文書の整理作業を実施した。
https://www.facebook.com/fukushima.shiryo.net/posts/392112967661007

●展示

 8月1日から30日まで,岩手県立図書館で,岩手県立博物館所蔵の文化財レスキュー写真パネルの中から,被災の状況と被災資料の再生への取組を紹介する特別展示「東日本大震災と県内博物館および関連施設」が開催された。
http://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/minitenji/201508_mini_bunkazai.html

 9月1日から29日まで,岩手県立図書館で,特別展示「東日本大震災とミュージアム」が開催された。展示の内容は,仙台・宮城ミュージアムアライアンスが,3月14日から18日まで開催された第3回国連防災世界会議で,岩手・宮城・福島の博物館及び関連施設の被災の状況と,再生への取組を紹介したものであった。
http://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/minitenji/201509_mini_museum.html

 9月4日から9月30日まで,福島県立図書館で,震災によって特に大きな被害を受けた浜通り地方に関する,「浜通りの記録をたどる資料展」が開催された。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/event/tenji/27_9_3hamadori.html

 9月26日から10月6日まで,福島大学のうつくしまふくしま未来支援センターで,ふくしま震災遺産保全プロジェクト実行委員会及び福島大学による,「震災遺産を考えるⅡ」展が開催された。
http://www.fukushima-u.ac.jp/press/H27/pdf/81_02.pdf

 10月16日,国立オリンピック記念青少年総合センターで,第101回全国図書館大会が開催され,日本図書館協会東日本大震災対策委員会による,「東日本大震災被災図書館あの日と今と。被災資料は語る」をテーマとした展示,国立国会図書館による,「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)等のポスター展示」が開催された。
http://jla-rally.info/tokyo101th/index.php/exhibition/section23
http://jla-rally.info/tokyo101th/index.php/exhibition/section24

 11月21日から27日まで,宮古市立図書館で,2015年度の郷土企画展として「がんばれ三鉄展」が開催された。
https://www.facebook.com/city.miyako/posts/1942576912635153
http://www.city.miyako.iwate.jp/data/open/cnt/3/5689/1/kohomiyako20151115_01-12.pdf

●イベント,講演会,講習会など

 9月5日,郡山市立中央公民館で,ふくしま歴史資料保存ネットワーク事務局による「懇話会 ふくしま再生と歴史・文化遺産2015 Ⅱ」が開催された。
http://blog.ap.teacup.com/fukushimanet/136.html

 9月16日,国文学研究資料館で,第39回国文研フォーラム「東日本大震災で被災した医学書と近世在村医 -福島県双葉町泉田家文書の世界-」が開催された。
https://www.nijl.ac.jp/pages/event/symposium/images/H27forum.pdf
http://blog.rekishishiryo.com/?eid=1615049

 9月25日,福島市のA・O・Z多目的ホールで,シャンティ国際ボランティア会の鎌倉幸子氏を講師に迎え,カンボジアでの学校図書館づくりや東日本大震災後の東北での支援活動の経験などについての文化講演会「図書館は,国境をこえる~カンボジアから東北へ~」が開催された。
http://kamakurasachiko.com/archives/1040712242.html

 9月26日,2011年の東日本大震災で浸水し,救出された大島漁協の資料を閲覧・研究するための施設「大島漁協文庫」の意義や活用方法等についてのシンポジウム及び同文庫の内覧会が開催された。
http://jominken.kanagawa-u.ac.jp/cgi-bin/system/topics/index.cgi?c=zoom&pk=1440999452
http://jominken.kanagawa-u.ac.jp/topics/data/1440999452/file-1.pdf

 9月26日,福島大学で,「震災遺産を考えるⅡ」展の開催にあわせ,シンポジウム「ふくしまの震災関連資料の保全と活用」が開催された。
http://www.fukushima-u.ac.jp/press/H27/pdf/81_02.pdf

 10月21日,千葉県立中央図書館で,郷土史家の古山豊氏を講師に迎え,講演会「千葉県の地震災害-元禄地震・東日本大震災被害を中心に-」が開催された。
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/information/central/post_122.html
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/information/central/img/kyoudokadaichirashi2015.10.pdf

 11月27日,岩手県立図書館で,総務省及び筑波大学知的コミュニティ基盤研究センターにより,「第7回DAN(Digital Archive Network)ワークショップ」が開催され,震災アーカイブに関する講演や,デジタルアーカイブの構築・運用・利活用についてのフリーディスカッションが行われた。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu02_03000226.html

●刊行物

 『専門図書館』273号(2015年9月)に,米澤稔による「東京電力福島第一原子力発電所事故関連情報アーカイブ化への取組について」が,諏訪康子による「国立国会図書館東日本大震災アーカイブひなぎくの取組」が,それぞれ掲載された。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I026757334-00
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I026757350-00

 8月29日,福島県立図書館が,「東日本大震災福島県復興ライブラリー」の資料を実際に読み,感じたことを伝える「ブックガイド」のNo.14を,11月11日にNo.15を公開した。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/pdf/guide15.pdf
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/pdf/guide16.pdf

●被災地を支援する活動

 8月26日,日本レコード協会が社会福祉法人全国社会福祉協議会及び日本図書館協会の協力のもと,「(第53回)レコード寄贈事業」を実施した。岩手県,宮城県,福島県の被災3県の公立図書館に加え,各県内の公民館図書室,仮設住宅の図書コーナー,学校図書館を対象に希望館を募り,75の図書館に,それぞれ35枚の音楽CDが贈られた。
http://www.riaj.or.jp/news/id=21
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=2701

 10月24日,北海道ブックシェアリングが,被災地の保育所や公民館などに提供されるものとして,書籍合計481冊を北海道日本ハムファイターズから受け取った。これらは,北海道日本ハムファイターズが実施している読書促進全道キャンペーン「グラブを本に持ちかえて」の一環として,同球団のファンから寄贈された。
http://ameblo.jp/booksharing/entry-12087893383.html

 11月30日,日本出版インフラセンター(JPO)が,経済産業省から受託して行っている「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」で制作した電子書籍について,会計検査院からの指摘により,経済産業省の指示のもと出版社344社に対して出版者配信状況を調査した結果を公表した。
http://www.jpo.or.jp/topics/data/20151130a_jpoinfo.pdf
http://www.jpo.or.jp/topics/data/20151130b_jpoinfo.pdf

関西館図書館協力課調査情報係