E167 – 揺らぐ学術雑誌の包括パッケージ契約モデル

カレントアウェアネス-E

No.30 2004.02.04

 

 E167

揺らぐ学術雑誌の包括パッケージ契約モデル

 

 米国のコーネル大学図書館はエルゼビア社が発行する学術雑誌の包括パッケージ契約(bundled journals package)を維持するのが困難であるとして,2004年から個別タイトルベースの契約に切り替えたうえで,数百タイトルの購読を中止すると発表した。2004年の資料費が1.4%減少するのに対して,同社から6.5%の値上げを提案されたため,2003年と同様の契約は維持できないと判断された。教授会は決議を採択して,図書館の決断を支持するとともに,商業出版社の支配力の増大が学術コミュニケーションに与える悪影響について懸念を表明した。

 同様の動きは,ハーバード大のほか,デューク大,ノースカロライナ州立大,ノースカロライナ大が設立したコンソーシアムであるトライアングル研究図書館ネットワーク(TRLN)等でも報告されている。

 一方,英国では,下院の科学技術特別委員会が学術雑誌出版に関する調査を開始すると2003年12月10日に発表した。ビッグ・ディール(CA1512参照)の影響やオープン・アクセス雑誌(E046参照)の意義等について調査が行われる予定である。

Ref:
http://www.library.cornell.edu/scholarlycomm/elsevier.html
http://hul.harvard.edu/letter040101.html
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2004_01_11_fosblogarchive.html#a107428025112956669
http://www.parliament.uk/parliamentary_committees/science_and_technology_committee/scitech111203a.cfm
CA1512
E046