カレントアウェアネス-E
No.30 2004.02.04
E166
図書館と情報コモンズ(米国)
米国図書館協会情報技術政策部(ALA/OITP)がロックフェラー財団の助成を受けて実施しているプロジェクト「情報コモンズ(Information Commons)」は,デジタル時代における知の公共性を問い,その中から図書館の新しいビジョンを描き出そうとするものである。ALA/OITP は2003年12月3日にディスカッション・ペーパー「図書館と情報コモンズ」を発表し,これをもとに2004年1月10日サンディエゴでフォーラムを開催した。
そこでは,思想や知識は社会の共有財産であり,それらへの自由なアクセスとその利用機会を保証することが民主主義社会の重要な基盤をなすという考え方のもとに,その実現のために求められる制度や組織,社会基盤,理念等を包括する概念として「情報コモンズ」という用語を用いている。図書館は民主主義社会に不可欠の「情報コモンズ」であるとされる。市場の力や様々な公共政策が情報を囲い込もうとする方向へと向かいつつある中で,知的財産権の適切な保護を図りつつ,著作物の利用を一層促進するために,図書館員はバランスのとれた公共政策の必要性を訴えていくべきであると指摘している。
Ref:
http://www.ala.org/ala/washoff/oitp/icprins.pdf
http://www.info-commons.org/index.shtml