カレントアウェアネス-E
No.29 2004.01.21
E163
中国国家図書館の最新動向 <日中業務交流開催報告>
2003年11月24日から12月3日まで,国立国会図書館から代表団5名が訪中し,中国国家図書館との業務交流が行われた。今回のメインテーマは「国立図書館の機能強化」,サブテーマは「ネットワーク情報資源の収集,組織化と利用」,「図書館協力の新展開」で,日中双方からの報告,意見交換がなされた。中国国家図書館では,1998年以来,所蔵重視から利用重視に方向転換しサービスの充実を図っている。2002年の利用者の延べ人数は497万人,総利用冊数は2,840万冊と1998年の3倍以上になっていると報告された。
ネットワーク情報資源の収集・組織化については,現在実験中で,「ウェブ情報資源収集保存テストプロジェクト(Web Information Collection and Preservation: WICP)」「オンライン・データベース・ナビゲーション・プロジェクト(Online Database Navigation: ODBN)」を館内提供している。なお,中国では「中国図書館法」(文化部所管)の制定準備中であるが,国家図書館はその条文中にネットワーク情報資源の国家図書館への納本義務を課すよう修正意見を提出している。
中国国家図書館は新館建設を計画していたが,2003年10月,その設計プランが発表された。ドイツのKSPエンゲル・ツィンマーマン建築設計,華東建築設計研究院合同の設計である。2004年4月着工,2007年10月完成の予定で,隣接した北側に建てられる。完成後は2,900席の閲覧席が設けられ,また電子図書館機能の充実がなされる。なお,今回の業務交流の詳細は『国立国会図書館月報』2月号で報告される予定である。
(報告:児玉史子)