E162 – 高等教育における情報利用に関する米調査報告

カレントアウェアネス-E

No.29 2004.01.21

 

 E162

高等教育における情報利用に関する米調査報告

 

 インターネットから多くの情報を直接に入手できるようになったことで,図書館に対する期待や利用パターンはどのように変化しているのだろうか?米国の電子図書館連合(DLF)と図書館情報資源振興財団(CLIR)が2002年に実施した高等教育関係者の情報利用に関する全米調査の結果を元に,『D-Lib Magazine』2003年10月号に分かりやすい報告がなされている。

 「Who use What?」というタイトルのこの論文では,高等教育機関において電子情報資源や技術がどのように利用されているか,同調査がフィジカルとバーチャルの両面における図書館の現状や今後の見通しについてどんなことを示しているか,などの点から調査結果を以下のようにコンパクトにまとめている。

  • 電子情報資源の利用には93.9%,所属機関のウェブサイトについては94.7%の回答者(教官,大学院生,学部学生)が満足している一方,9割以上の回答者は,少なくとも今後5年間は,紙資料は重要な情報源であり続けると考えている。
  • 回答者の5〜6割が,授業や研究等に用いる情報の半分以上を所属機関の図書館のウェブサイトから入手している。
  • 回答者の3分の1は図書館の利用が2年前より減っていると答えているものの,8割以上の回答者が図書館は情報ニーズの大半を満たしてくれると考え,また回答者の半分強は図書館でのブラウジングが重要な情報収集手段であるとみなしている。

     

Ref:
http://www.dlib.org/dlib/october03/george/10george.html
http://www.clir.org/pubs/reports/pub110/contents.html
竹内比呂也.レポート紹介,電子情報環境下における学術情報利用の現状:DLFおよびCLIRによる大規模利用者調査の紹介.情報管理.45(11),2003,821-822.