カレントアウェアネス-E
No.23 2003.10.01
E129
電子情報資源はどのように利用されているか? CLIR報告書
図書館における電子情報資源の利用調査の中から,200以上の研究論文を選択しレビューした報告書『図書館における電子情報資源の利用および利用者』が,図書館情報資源振興財団(CLIR)から8月に刊行された。利用者が電子情報資源をどう受け止め,どのように利用しているかについては,様々な手法により数多くの調査研究がなされているが,これらの研究結果を総合し,電子情報環境下における利用者の情報探索行動や選好に関する全体像を描き出そうとするのが報告書の目的である。
著者のテノピア(Carol Tenopir)テネシー大学教授は,次のような一般的な傾向が見られるとしている。
- 研究者も学生も電子情報資源を好んで利用しているが,印刷資料は未だほとんどの学問分野において研究に欠かせない存在である。
- 電子ジャーナル利用者の多くは論文を紙に印刷して利用しているため,PDFのように印刷に適したフォーマットが有用視されている。
- 印刷版・電子版に関わりなく,少数のコアジャーナルのブラウジングが重要視されている。
- 雑誌の個人購読は減少し続けており,図書館が契約する電子ジャーナルやインターネット情報資源への依存が高まっている。
- 単科大学の学生や高校生は図書館よりもインターネットをよく利用している。