E128 – Google Answersとデジタルレファレンス

カレントアウェアネス-E

No.23 2003.10.01

 

 E128

Google Answersとデジタルレファレンス

 

 商業ベースの質問回答サービスは,図書館が提供するデジタルレファレンスの脅威となっているのだろうか。米国のコーネル大学図書館では,検索エンジン最大手Googleが提供する有料の人力検索サービス「Google Answers」と同館の電子メールレファレンスを対象にして,レファレンス回答の質とコストに関する比較調査を行った。その調査報告論文が『D-Lib Magazine』6月号に掲載されている。同調査は限られた範囲で行われたものであり,その結果は限定的な現状レビューでしかないが,「人力検索サイト はてな」等の同様の商用サービスが存在するわが国の図書館にとっても,有用な示唆を得ることができる興味深い内容となっている。

 それによると,質の面では図書館レファレンスによる回答の方がGoogle Answersの回答よりも高く評価されていたが,予期していたような大差はついておらず,どちらの回答も全体的に良い評価を得ていた。また,Google Answersのコスト(質問料金)は,図書館員が回答にかける時間から換算したコストよりも格段に低いものであった。同論文では最後に,今回の調査の教訓として,(1)レファレンス業務における自己・他者評価の重要性,(2)情報サービス産業の動向に関する広範なモニタリングの必要性,(3)商用情報サービスの教訓の図書館への適応可能性,を挙げている。

Ref:
http://www.dlib.org/dlib/june03/kenney/06kenney.html
http://answers.google.com/answers/main
http://www.hatena.ne.jp/