カレントアウェアネス-E
No.23 2003.10.01
E127
大型書店が図書館に与える影響
街の中心部の大型書店の存在が公共図書館の利用やイメージにどのような影響を与えているのかを,英国の5つの都市の大型書店と公共図書館の中央館を対象に調査した結果が,英国図書館・情報専門家協会の機関誌『アップデイト』7月号で紹介されている。
(1)大型書店は単に書籍を販売する場所としてではなく地域コミュニティのための空間として受け止められている。特に,中間所得層では図書館の利用が減少する一方で大型書店の利用が増加している。また,若者層(17〜29歳)も図書館よりも大型書店の利用を増やしている。(2)図書館を教育的な場所,大型書店を余暇のための場所であるというように,図書館と大型書店とに異なる印象をもつ利用者が多いが,読書を促進するために大きな役割を果たし,長居できる快適な空間を提供することを両者に共通して求めている,といった結果が示されている。そして,図書館があらゆる人たちによって利用される場所であるためには,特に若者層や中間所得層の動向に注意を払うとともに,教育と余暇との望ましいバランスのあり方を考えていく必要があると指摘している。
Ref:
http://www.cilip.org.uk/update/issues/jul03/article3july.html