カレントアウェアネス-E
No.73 2005.12.21
E425
中国国家図書館の最新動向2005 <日中業務交流報告>
2005年11月22日から29日まで国立国会図書館の代表団5名が訪中し,中国国家図書館との間で第25回日中業務交流が開催された。今回のテーマは「デジタル資源の収集・保存・提供」。デジタル資源への対応は,世界中の図書館で新しい挑戦を迫られている大きな問題であるが,デジタル資源の維持管理,ネットワーク資源保存の技術的課題,電子ジャーナルベンダーとの関係等,日中が共通の課題に直面していることをあらためて認識させられるものだった。
中国国家図書館は,2007年完成を目途に新館とデジタル図書館の建設に着手している(E163参照)。新館の建物は地上5階地下3階,総面積は約7万8千平方メートルで2,900の閲覧席を備える。物理的資源とネットワーク上のバーチャル資源(CA1531参照),印刷媒体と電子媒体の情報を相互補完的に活用するというコンセプトのもと,収蔵能力1,200〜1,400万冊,開館当初のデジタル資源の総量は30テラバイトを予定している。デジタル図書館は8つのセンター(デジタル加工,デジタル資源統合,システム開発維持,デジタル資源サービス,保存管理,ネットワーク管理,発展研究,展示・研修)を設置し,システム開発から加工,保存,提供まで一貫してサービス提供する。
現在,自館作成のデジタル資源としては書誌データ357万件,全文画像データ8,000万ページ(民国時代の雑誌,博士論文,地方志,甲骨,敦煌文献等)などがある。国家図書館ホームページ上のデジタルポータルでは外部データベース(中国語32種,外国語65種)も含めて同一インターフェイスで検索でき,一部は横断検索もできる(国家図書館登録利用者以外は限定的検索のみ可)。なお,今回の業務交流の詳細は『国立国会図書館月報』2月号で報告される予定である。
(報告:支部図書館・協力課 村上かおり)