E424 – 中国の総合レファレンスサービスネットワーク

カレントアウェアネス-E

No.73 2005.12.21

 

 E424

中国の総合レファレンスサービスネットワーク

 

 12月15日,国立国会図書館がレファレンス協同データベースを一般公開したが,中国では一足早く,4月から総合レファレンスサービスネットワークが一般に提供されており,好評を博している。参加館の職員は,午前8時から午後9時までほぼリアルタイムでオンラインレファレンスを行っている。レファレンスの総件数は12月16日現在,17万件間近に達している。中国では2002年から,ネットワークを通して図書館,博物館,美術館等の文化情報資源を全国民に提供する「全国文化情報資源共同利用プロジェクト」を推進している。このプロジェクトのもと,全国民の文化情報資源へのアクセスを促進するため,2005年1月,広東省立中山図書館が主催して総合レファレンスサービスネットワーク設立の検討会議が行われた。会議後わずか3か月でサービスが開始され,現在は広東省内の公共図書館を中心に,福建省図書館,雲南省図書館,天津図書館といった各地の大規模な公共図書館,科学アカデミーに属する国家科学数字図書館や一部の大学図書館,民間企業である超星数字図書館(CA1472参照)など,30館以上が参加している。図書館ごとにウェブサイト(同一のインターフェイス(ソフト)を用いているところも多い)を立ち上げており,質問・回答や統計データが共有されている。このプロジェクトの注目すべき点は,レファレンスだけでなくデジタル資料も利用できる点,参加館のいずれかに利用者登録をしていれば無料でサービスを受けられる点である。特に前者は,公共図書館間での資源の共同利用,すなわちILLと位置付けられており,利用者に提供される資料はまもなく,電子本90万タイトル,中国語の雑誌論文1千5百万件,外国語の雑誌論文5百万件,学位論文23万件,会議論文17万件,規格資料7万件,特許明細書86万件に達するとされている。

Ref:
http://crd.ndl.go.jp/jp/public/
http://www.zslib.com.cn/cn/level3.asp?id=369
http://find.ssreader.com/Readers/Index.aspx
http://www.firstdrs.com/
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/jc_23_ch_01.pdf
CA1472