カレントアウェアネス-E
No.29 2004.01.21
E160
LCによるイラク国立図書館・文書館施設の調査報告
2003年10月25日から11月4日まで,米国議会図書館(LC)の専門家チームはイラクを訪問し,国立図書館および文書館の再建のために戦災の被害状況(E082,E091,E104参照)を調査した。その調査結果と今後の展望をまとめた報告書『議会図書館・国務省バグダッド使節団:国立図書館と文書館(the House of Manuscripts)に関する報告』がLCのウェブサイトに掲載されている。
報告書によると,国立図書館の所蔵資料は,1977年以降の共和制関連文書やマイクロフィルムなどが破損したものの,図書や新聞など多くのコレクションは無事であるとされている。これは現地の図書館員が戦時中,館を封鎖して資料を保護したり,文書の一部を穀物袋に入れて場所を移したりといった対策をとったためである。しかし資金難等により戦争前から資料管理がままならず,書庫は乱雑な状態にあるという。
また同報告書は,建物の損傷が激しいため,現在の将校クラブを改築して新しい国立図書館の施設にあてること,その後方の敷地に4階建てで1万平方メートルほどの書庫を造ること,図書館と文書館を分離して各々の専門性に合った基盤を整えること,人材を育成することなどを勧告している。
Ref:
http://www.loc.gov/today/pr/2003/03-210.html
http://www.loc.gov/rr/amed/iraqreport/iraqreport.html
E082
E091
E104