E1526 – 第3回日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議<報告>

カレントアウェアネス-E

No.252 2014.01.23

 

 E1526

第3回日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議<報告>

 

 2013年12月19日から20日まで,韓国国立中央図書館(NLK)において第3回日中韓電子図書館イニシアチブ(China-Japan-Korea Digital Library Initiative: CJKDLI)会議が開催された。

 CJKDLIは,日本,中国,韓国の文化・学術遺産をインターネット上で統合的に検索し,利用できる電子図書館サービスの実現を目指す三か国の国立図書館による連携協力事業である。2010年8月に国立国会図書館(NDL),中国国家図書館(NLC),NLKが日中韓電子図書館イニシアチブ協定を締結後,日本,中国,韓国が持ち回りで会議を開催することになり,第1回目の会議は2011年10月にNLCで,第2回目の会議は2012年12月にNDLで開催された。第3回目となる今回の会議は,NLKで開催され,NDLからは3名,NLCから3名,主催国であるNLKからは9名が出席した。

 初日は,各国立図書館がそれぞれの電子図書館に係る取組の最新情報を報告した。NLKはISBNやISSNを付与された電子出版物を納本対象とする法改正の動向を含めたデジタル資料の収集・組織化などについて報告を行った。NLCは,デジタル資源に対する識別子を付与・登録するための国家電子図書館識別子システムの公開や中国全土を覆う電子図書館バーチャルネットワークの構築を目的とする電子図書館拡大推進プロジェクトの現況などについて報告を行った。NDLからはオンライン資料などのデジタル資料の収集,図書館向けデジタル化資料送信サービスなどについて報告を行った。

 CJKDLIは将来的には三か国の統合的情報サービス(ポータル)の構築を視野にいれているが,その第一段階として各国立図書館が運営するポータルサイトの相互運用性を向上させることを目指している。2日目は,その実現に向けての協議を行った。

 前半は,各国立図書館のポータルサイトの現況と課題の共有およびAPIによる相互連携の方法について協議を行った。ポータルサイトの名称は,それぞれ,国立国会図書館サーチ(NDL),文津検索システム(NLC),Dibrary(NLK)である。各館の所蔵資料,総合目録,デジタル化資料などを統合的に検索することができ,検索対象となるメタデータの件数はそれぞれ約7,300万件,約2億件,約3,600万件にのぼる。国立国会図書館サーチからDibraryへのAPI連携は2011年に実現しており,国立国会図書館サーチからは,NLKの所蔵資料の横断検索が可能である。そして,本会議においてDibraryから国立国会図書館サーチへのAPI連携が実現されたことがNLKより報告された。これにより,日韓の国立図書館の蔵書について,相互に統合的な検索が可能となった。現時点で実現していないNLCの文津検索システムとのAPI連携についても引き続き協議を重ねることとなった。後半では,中長期的な目標として日中韓の統合的情報サービス(ポータル)をどのように構築していくかについて協議を行った。

 第4回CJKDLI会議は,2014年にNLCで開催する予定である。

電子情報部電子情報サービス課・小澤弘太
電子情報部電子情報流通課・福山樹里
      関西館電子図書館課・安藤一博

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2010/1190013_1531.html
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/elib-cooperation.html#2-3
http://iss.ndl.go.jp/
http://find.nlc.gov.cn/
http://www.dibrary.net/