カレントアウェアネス-E
No.251 2013.12.26
E1515
東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2013/12/24現在)
2013年12月4日で,東日本大震災発生から1,000日を迎えた。東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1490ほか参照)に続き,2013年10月下旬から12月中旬にかけての主な情報をまとめた。
●被災地の図書館等の活動
陸前高田市立図書館(岩手県)の仮設図書館が,開館から約10か月を経過した10月22日に,来館者数5,000人を超えた。また、12月8日には,仮設図書館の設立1周年を記念するイベントが開催された。
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws9139
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/tosyokan/pdf/1kinen.pdf
11月1日,福島県南相馬市内の小中学校の学校図書館で「杉並文庫」の貸出が開始された。「杉並文庫」は,杉並区からの義援金を活用し,杉並区ゆかりの作家や著名人の書籍のほか,放射線・環境教育・復興に関する書籍を選び,1校あたり200~250冊の規模で整備されたものである。
http://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/20,15112,87,339,html
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/11/post_8547.html
11月14日,東松島市図書館(宮城県)の東日本大震災の被災体験談の取材が,100人を超えたと報道された。
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1070/20131114_01.htm
陸前高田市図書館(岩手県)がバリューブックス社と協力して実施している「陸前高田市図書館ゆめプロジェクト」への支援が,11月末時点で,100万冊を超えた。
http://books-rikuzen.jp/
●デジタルアーカイブに関する動き
いわき明星大学および東日本国際大学が,福島県及びいわき市と連携して行う震災復興プロジェクトとして,福島県浜通り地区の震災資料の記録・保存・公開を通じて,東日本大震災の記憶を紡いでいく「はまどおりのきおく-未来へ伝える震災アーカイブ」に,写真や証言記録が掲載され始めている。11月9日には,いわき明星大学と福島県双葉郡楢葉町が震災資料の収集・調査研究の分野で支援・協力するために連携協力協定を締結した。この協力による成果は、「はまどおりのきおく」などで公開される予定である。
http://hamadoori-kioku.revive-iwaki.net/
http://hamadoori-kioku.revive-iwaki.net/info/2013/11/post-3.html
11月1日,日本アーカイブズ学会と日本物理学会が,共同声明「福島第一原発事故に関わる放射線測定データの保全と後世へのアーカイブズ化を」を発表した。
http://www.jsas.info/modules/news/article.php?storyid=147
http://www.jps.or.jp/information/2013/11/post-11.html
http://www.radarc311.jp/
11月13日,福島大学行政政策学類の佐々木康文ゼミが,東京電力福島第一原発事故により全村避難となっている飯舘村の現状を映像で記録する,「飯舘村・映像記録アーカイブプロジェクト」に取り組むことを発表した。
http://www.fukushima-u.ac.jp/press/H25/pdf/58_03.pdf
http://www.minyu-net.com/news/news/1114/news7.html
12月4日,朝日新聞デジタルで,新聞の折り込みチラシの変遷から被災地の復興をたどる「チラシでたどる震災1000日」が公開された。デジタル化されたチラシに加えて,チラシの作成者に取材した記録動画なども掲載されている。
http://www.asahi.com/shinsai_fukkou/otsuchiad/
国立国会図書館は東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)の構築を通じ,東日本大震災の記録等を収集し保存するとともに,利活用を広げる活動に取り組んでいる。以下のコンテンツを新規に連携先として追加した。
11月8日 赤十字原子力災害情報センターデジタルアーカイブ(日本赤十字社),NWEC災害復興支援女性アーカイブ(国立女性教育会館)
11月22日 3.11震災文庫(仙台市民図書館)
12月4日 NHK東日本大震災音声アーカイブス
12月11日 福島県新地町被災写真(新地町図書館)他
http://kn.ndl.go.jp/information/
●イベント・その他
11月1日,国立国会図書館と国公私立大学図書館協力委員会による「国立国会図書館と大学図書館との連絡会」の下に設置された「東日本大震災被災図書館記録ワーキング・グループ」が中間まとめ報告会を実施した。
http://kn.ndl.go.jp/static/libkiroku
2013年度グッドデザイン賞において,首都大学東京渡邉英徳研究室の「東日本大震災アーカイブ」が「復興デザイン賞」を受賞した。また,キハラ株式会社の減震ユニットと新型の書架を組み合わせた図書館用減震書架「グラッパ ライブラックスマート書架」がグッドデザイン賞を受賞した。同社と金沢工業大学,金沢大学大学院の共同研究開発によるものである。
http://www.g-mark.org/award/describe/40598
http://www.g-mark.org/activity/2013/results.html
http://www.g-mark.org/award/describe/40216?token=0z60fnnlvm
11月16日から2014年1月13日まで,東北歴史博物館で,東日本大震災復興祈念特別展「神さま仏さまの復興-被災文化財の修復と継承-」が開催されている。この特別展は,宮城県内の文化財で,東日本大震災により被害を受け,修復された神像や仏像などに特に焦点をあてたものとのことである。
http://www.thm.pref.miyagi.jp/exhibition/detail.php?data_id=499
12月13日,国立国会図書館が,「東日本大震災に関する書類・写真・動画の整理・保存講習会~被災支援活動の経験・ノウハウを活かすために~」を開催した。
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/archive-workshop.html
●刊行物
2013年10月号の『情報知識学会誌』に,東京工業大学大学院社会理工学研究科の村井源氏による「東日本大震災でのTwitterハッシュタグの利用傾向調査 : 震災時のICT活用に向けて」が掲載された。
11月1日,国文学研究資料館准教授の青木睦氏による『被災資料救助から考える資料保存 : 東日本大震災後の釜石市での文書レスキューを中心に : 特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩 第13回多摩デポ講座〈2012・2・25〉より』がけやき出版より刊行された。
http://www.keyaki-s.co.jp/tama-depo8.html
11月25日,福島大学准教授の阿部浩一氏,福島大学うつくしまふくしま未来支援センターによる『ふくしま再生と歴史・文化遺産』が山川出版社より刊行された。震災や原発事故で被災した福島県の文化財を双葉,大熊,富岡の3町の学芸員が救出する取り組みを記録した資料である。
http://www.yamakawa.co.jp/product/detail/2239/
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20131210-OYT8T00796.htm
福島県立図書館職員が「東日本大震災福島県復興ライブラリー」の資料を実際に読み,感じたことを伝えるブックガイドのNo.6を12月6日に公開した。
http://www.library.fks.ed.jp/guide6.pdf
●被災地を支援する活動
東京都立中央図書館では,2013年度から2014年度までの2年間で,東日本大震災の津波で被災した岩手県陸前高田市の郷土資料51点の修理を実施している。11月13日にその様子が公開された。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.745514302130058.1073741865.327010277313798&type=1
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.754374137910741.1073741870.327010277313798&type=3
公益社団法人読書推進運動協議会<大震災>出版対策本部が,11月15日から2016年3月31日までの予定で,「大震災出版復興基金」への募集を行っている。
http://dokusyo.or.jp/kikin/kikin.html
東日本大震災で被災した文書を救うために結成されたボランティアグループである東京文書救援隊が11月30日で活動を終了した。
http://toubunq.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html
「読んで復興支援フェア」の第三弾が12月末まで開催されている。このフェアは,対象に指定された本を書店で買うと東日本大震災の被災地の学校図書館に本を贈る「学校図書館げんきプロジェクト」への寄付になるというものである。
http://www.j-sla.or.jp/shinsai/post-64.html
http://www1.e-hon.ne.jp/content/fukkou_2013.html
http://www1.e-hon.ne.jp/content/fukkou_2013_shoten.html
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20131025-OYT8T00792.htm
関西館図書館協力課調査情報係