カレントアウェアネス-E
No.274 2015.01.22
E1647
第4回日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議<報告>
2014年12月9日と10日,第4回日中韓電子図書館イニシアチブ(China-Japan-Korea Digital Library Initiative: CJKDLI)会議(E1526参照)が中国国家図書館(NLC)で開催された。国立国会図書館(NDL)と韓国国立中央図書館(NLK)からは各4名,主催国であるNLCからは12名が出席した。
初日の午前は,昨年実施の第3回会議(E1526参照)後の各館の電子図書館に関する取組を報告した。NLCは,政府のウェブ情報の保存や電子図書館拡大推進プロジェクトの進展のほか,電子図書館事業の紹介や最新技術を用いたサービス等を展示するために2014年9月に同館内に開設された電子図書館体験ゾーン等について報告を行った。NDLは,図書館向けデジタル化資料送信サービスの開始や視覚障害者等用デジタル資料の収集・送信等について報告した。NLKは,ポータルサイトDibraryの進展,貴重資料等に限定した全文テキストデータベースの構築,国内電子ジャーナルのダークアーカイブや書籍のデジタルファイル受託保存のための出版社等との業務協約の締結完了等,オンライン資料の保存事業等の報告を行った。
初日の午後には,各館からのトピック報告を行った。NLCからは新しい提案として,各国の貴重本・古典籍等のデジタル資料を相互に提供してデータベースを構築するという「中日韓デジタル図書館データベース構築計画」が示された。NDLからは,「国立国会図書館サーチ連携実施計画案」について概要を説明した。この「実施計画案」は,国立国会図書館サーチが今後連携対象とする機関・システム,今後概ね5年間を目途に実現を目指す連携拡張の規模,効率的な連携拡張の方式等を明確化することを目的として現在作成を進めているものである。さらに,日中韓の連携の先に描くことができる世界規模での統合的なポータルの姿といった今後の展望を示した。NLKからは,昨年の前回会議後に三か国で合意した計画書に基づき同館が構築を進めている,統合的情報サービス(ポータル)のパイロット版についての説明が為された。このパイロット版は,多言語対応した統合検索システム構築のための検討材料とすることを目的としたものであり,一般公開は想定していない。試験的なものであるため,現時点では基本的に,各館が提供した翻訳書の多い著者10名のデータとその著作のメタデータのみが投入されている。各館のメタデータをLinked Open Data(LOD;CA1746参照)として提供することに重点が置かれており,各データはRDF形式で記述され,米国議会図書館の著者名典拠ファイル,バーチャル国際典拠ファイル(VIAF),国際標準名称識別子(ISNI),DBpedia(WikipediaをLOD化したもの)等の外部のデータにリンクしている。
2日目は,1日目午後の報告を受けて,今後の進め方に関する協議を行った。三か国は,これまで中長期的な目標として検討してきたポータルの構築と並行して,NLCが提案した「中日韓デジタル図書館データベース構築計画」についても検討していくことに合意した。NLKが構築中のポータルのパイロット版に関しては,技術情報を共有した上で,メタデータの形式,サービスとして必要な機能,技術的課題等について,本格版の実現に向けた検討を進めることとした。
第5回CJKDLI会議は,2015年にNDLで開催する予定である。
電子情報部電子情報サービス課・木目沢司
電子情報部電子情報サービス課・小澤弘太
電子情報部電子情報流通課・福山樹里
関西館電子図書館課・大山聡
Ref:
http://www.nlc.gov.cn/dsb_zx/gtxw/201412/t20141211_94129.htm
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2010/1190013_1531.html
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/elib-cooperation.html#2-3
http://iss.ndl.go.jp/
http://www.dibrary.net/
http://find.nlc.gov.cn/
http://ja.dbpedia.org/
CA1746
E1526