カレントアウェアネス-E
No.227 2012.11.29
E1368
NDL,新方針をテーマに書誌調整連絡会議を開催<報告>
2012年10月12日,国立国会図書館(NDL)収集書誌部は,今年度の書誌調整連絡会議を開催した。この会議は,国内の書誌調整に関する情報の共有と交換により書誌データの作成及び提供の充実と発展に資することを目的に,2000年度から毎年度開催しているものである(E1006,E1268参照)。
13回目となる今年度の会議には,研究者,図書館及び書誌作成機関等の計15人並びにNDL職員が出席した。収集書誌部で現在策定中である書誌データの作成及び提供に関する新方針をテーマとして,これからの書誌データのあり方等について意見交換を行った。
会議では,最初に,国立情報学研究所(NII)の大向一輝准教授が,「書誌データの近未来」と題する講演を行った。この中で大向准教授は,データの姿はサービスの姿と密接に関わるため,書誌データの未来像はサービス面から考えるべきであるとして,具体例に電子リソース管理データベース(ERDB)プロトタイプ構築作業(E1292参照)等を挙げてNIIの取組みを紹介するとともに,全国の大学図書館等の電子リソースの書誌データと契約情報等を一元的に管理するERDBを通じて,図書館は書誌データの作成だけではなくアクセス保障の維持管理に注力すべきであるとの見解を述べた。また,これからの書誌データは,目に見える情報の他に,目に見えない情報をいかに記述の上に載せていくかが重要であり,データ間の関連を明らかにし,定義していくことが必要であるとの認識を示した。
続いて,NDLが「『国立国会図書館の書誌データの作成・提供の方針(2008)』,『国立国会図書館の書誌サービスの新展開(2009)』の成果及び課題」と題して報告を行い,2008年度から今年度までの書誌サービスの拠り所としてきた方針の内容を説明した上で,その評価と今後の新方針へ引き継ぐ課題を提示した。報告では,ウェブ時代に対応して誰もが自在にNDLの書誌データを活用可能にすることを目指した現在の方針に関し,2012年1月のシステムリニューアルまでに,書誌データ提供の改善,多言語対応,民間MARCの導入等いくつかを達成したが,関係機関との連携協力については課題が残り,NDLの書誌データ作成の効率化,迅速化を進め,開放性を高めるためにも,外部資源の活用は継続課題であるとの認識を示した。
さらに,NDLからは「書誌データの作成及び提供に関する方針について」と題した新方針の方向性についての報告も行い,新方針は,オンライン資料の制度収集開始等による電子的に流通する情報の増加や情報環境の変化等に対応していること,また「私たちの使命・目標2012-2016」に沿ったものとなっていることを紹介した。
新方針の方向性に関しては出席者からおおむね賛同を得られたが,新方針に基づいた具体的な作業の進め方を早期に公開してほしいとの要望が寄せられた。また,関係機関と連携するには,書誌データや典拠データのIDの維持管理が重要であり,その点でNDLに期待する声があった。NDLからは,いただいた意見等をもとに新方針を検討していくこと,新方針に基づいた具体策について一部検討を開始していることを報告した。
会議の概要はNDLホームページ内「書誌調整連絡会議」に掲載する。また,書誌データの作成及び提供に関する新方針については今年度中に策定の上,公開する予定である。
(収集書誌部)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/conference.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/housin2008.pdf
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2010_2/article_01.html
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/mission2012.html
E1006
E1268
E1292