カレントアウェアネス-E
No.210 2012.02.23
E1268
NDL,RDAをテーマに書誌調整連絡会議を開催<報告>
2012年1月27日,国立国会図書館(NDL)収集書誌部は2011年度の書誌調整連絡会議(E1006参照)を開催した。この会議は,国内の書誌調整の充実と発展に資することを目的として2000年度から毎年度開催しているものである。12回目となる今年度の会議は「RDA,その動向,構造及び課題整理」と題して,RDA(Resource Description and Access;CA1686,CA1713参照)をテーマとして採り上げ,研究者及び関係機関実務担当者7人並びにNDL職員が出席した。
AACR2(英米目録規則第2版)の後継であるRDAは,FRBR(書誌レコードの機能要件)及びFRAD(典拠データの機能要件)をその基盤として位置付けて,利用者の視点から従来の目録法の見直しを図り,デジタル情報資源のメタデータとの調整を行い,さらに,図書館以外のコミュニティ(文書館,博物館等)との連携も視野に入れた,従来の枠組みを超えた目録規則である。
2010年6月のRDA刊行後,米国議会図書館(LC)等で導入テスト(E1191参照)が行われる等,海外では採用に向けた検討が進められている。RDAへの対応状況等も含めた国内の目録の方向性について意見交換を行い,また,NDLの書誌作成及び提供並びに書誌調整業務における課題を整理する目的で,RDAを今年度のテーマとした。
まず,帝塚山学院大学准教授の渡邊隆弘氏より,「RDAの概説と動向」と題して,RDAの策定の経緯,基本的な構造,従来の目録規則と比較した特徴,LCによる導入テスト等から見えてきた課題等について報告があった。
続いて,筑波大学大学院教授の谷口祥一氏より,「FRBR/FRADからみたRDAそしてMARCフォーマット」と題して,RDAの位置付けや具体的な実装方法,日本での導入の可能性や課題について,主にFRBRやFRADとの関係性や,MARC21フォーマットとの関連の面から報告があった。
最後にNDLから,「RDA適用に向けての国立国会図書館の課題整理」と題して,NDLが今後適用する目録規則への対応,典拠コントロール重視の方向性,システム面での課題や展望について報告を行った。
質疑応答・自由討議では,RDAへの対応は国内各機関において緒についたばかりであり,その適用に向けては,NDLが率先して大学図書館を始め関係機関との連携を図り,ネットワーク情報資源のメタデータの扱いも合わせて検討を進めるべきとの意見があった。
また,RDAにおいては典拠コントロールが重視されており,コントロール対象の拡充等においてNDLが担うべき役割も今後一層重要となるため,その費用対効果を考慮しつつ取り組むべきことが確認された。
会議の概要は,NDLホームページ内「書誌調整連絡会議」に掲載する予定である。
(収集書誌部)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/conference.html
CA1686
CA1713
E1006
E1191