E1006 – NDL,平成21年度書誌調整連絡会議を開催<報告> 

カレントアウェアネス-E

No.163 2009.12.16

 

 E1006

NDL,平成21年度書誌調整連絡会議を開催<報告>

 

 2009年11月25日,国立国会図書館(NDL)収集書誌部は「平成21年度書誌調整連絡会議」を開催した。この会議は,書誌調整に関する情報の共有や意見交換を目的として,書誌データの作成及び提供に関する諸事項について関係諸機関と定期的に協議するものである。館外からの招へい者・聴講者計18人,およびNDL職員が出席した。

 今年のテーマは「日本の件名標目表:BSHとNDLSHの連携・その先へ」であった。件名とは,書誌データに付与する統制されたキーワードのことであり,特定の分野に限定しない件名のリストとしては,日本には,日本図書館協会(JLA)によるBSH(基本件名標目表)およびNDLによるNDLSH(国立国会図書館件名標目表)がある。会議では,この両者の現状や,相互の連携を含めた将来像について検討された。近年の会議は国内や海外での書誌をとりまく状況についての報告・情報交換が中心であったが,2009年はテーマを絞ってのディスカッションを中心とした。

 NDLからは「国立国会図書館の方針について」,「NDLSHの現状」,「BSH-NDLSH連携に向けた検討状況」を報告し,帝塚山大学教授でJLA件名標目委員長の柴田正美氏から「BSHの現状」,筑波大学大学院教授の杉本重雄氏から「SKOSを活用した件名標目表の提供」と題した報告があった。これらの報告を受けて,慶應義塾大学教授の上田修一氏,国立情報学研究所教授の宮澤彰氏によるコメントがあり,その後は質疑応答・自由討議が行われた。

 自由討議で大きな議論となったのが,「件名の重要性」である。「件名の意義は,図書館界では認識されているが,一般的に理解・活用されているとは言い難い」という問題提起に対し,「情報の組織化や検索に有効であることをアピールしなくてはならない」との意見があった。この点に関しては,「BSHとNDLSHの連携を進めるとともに,メンテナンス体制を充実し,公開方法についても検討すべきである」との指摘もあった。

 また,昨今は図書館界でもウェブ上での情報流通への対処が大きな課題となっていることから,ウェブ上の情報に件名を付与することについても議論があった。

 最後に,NDLの田屋裕之収集書誌部長が,「デジタル資料やウェブコンテンツの収集が現在課題となっているように,図書館の対象領域も今後は広がっていくであろう。それらの情報を整理するための1つのツールとして,件名は,新たな可能性を模索しつつ,今後も重要となっていくのではないか」とのまとめを行った。

 今回の会議では,件名の存在意義,BSHとNDLSHの連携,インターネット時代における件名の新たな可能性について多くの有意義な議論が交わされた。NDLとしては,これらの意見等を踏まえ,件名の活用を促進する取り組みを行っていく。

(収集書誌部)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/conference.html
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2009_2/index.html#07
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/bib_newsletter/2009_3/index.html#08
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/ndl_ndlsh.html