カレントアウェアネス-E
No.214 2012.04.26
E1284
画像でつながるSNS“Pinterest”,図書館も進出
図書館は,利用者コミュニティの中でのプレゼンスを高めるために工夫をこらしてきた。Facebook(E1182参照),Twitter(CA1716,E888参照)など,新しいソーシャルネットワークサービス(SNS)が流行すると,図書館もアカウントを開き,SNS上の利用者とのつながりを築く努力をしてきた。昨年来,米国を中心に急速に訪問者数を増やしているSNSにPinterest(ピンタレスト)がある。画像データや映像データを簡単にシェアできる新しいサービスである。このSNSの利便性の高さと利用の増加に着目し,米国をはじめ世界各地の図書館が早速進出を始めている。
ピンタレストは,コルクボードにお気に入りの写真を張り付けるように,オンライン上のスペースに画像を張り付け(ピンナップし),その画像を媒介に他の利用者とつながっていくという,シンプルなサービスである。未だベータ版のサービスにも関わらず,comScore社のデータによると,2012年1月の月間訪問者数は1170万人にのぼる。ピンタレストの利用者層については,modea社がcomScore社などのデータをもとにインフォグラフィックスを作成し,ピンタレストの画面イメージに似せて公開している。これによれば,利用者の68%が女性であり,年代別には25歳から44歳までの利用がおよそ半数を占めているとのことだ。
図書館における活用方法については,既に様々なアイデアが出され,それらをまとめた記事も公開されている。その活用方法は,推薦図書や新着図書の情報を利用者に届けるといった基本的なものにとどまらない。図書の展示方法や児童コーナーの手作りのディスプレイを伝える画像の共有は,他の図書館員にも参考になる。学習用の資料をビジュアルで伝えれば,子育て世代へのアピールも増す。学術的な領域においても,有益なインフォグラフィックスを共有すること,貴重書などのデジタルアーカイブを持つ図書館がその情報を共有することは,研究者たちの助けにもなる。このようなアイデアが数多く示されている。
実践例では,コネチカット州の学校図書館員のラディック(Sarah Ludwig)氏が,新着図書,蔵書に加えるべき図書,図書館プログラムのネタなどのコンテンツを集めたボードを生徒向けに作成し,ピンタレストの活用性の高さを自身のブログで紹介している。また図書館情報学の領域でも,米国のシラキュース大学情報学大学院が,「ライブラリアンシップの将来を創造するピンタレストボード」を開始した。ピンタレストの人気と,画像のキュレーションネットワークという特性に着目した企画であり,将来の図書館員像を効果的に伝える画像をコンテスト形式で集めるものである。
図書館では,そのプレゼンスを高める様々な手段が試されてきている。ピンタレストの活用もその1つとして注目に値しよう。
(関西館図書館協力課・依田紀久)
Ref:
http://pinterest.com/
http://overdriveblogs.com/library/2012/04/09/marketing-idea-promote-your-library-on-pinterest/
http://techcrunch.com/2012/02/07/pinterest-monthly-uniques/
http://www.modea.com/blog/pinterest-infographic
http://sarahludwig.wordpress.com/2012/03/16/using-pinterest-in-school-libraries/
http://savedelete.com/pinterest-revolutionizing-the-way-libraries-are-used.html
http://oedb.org/blogs/ilibrarian/2012/10-resources-for-using-pinterest-in-your-library/
http://www.thedigitalshift.com/2012/03/k-12/syracuse-launches-pinterest-contest-for-the-new-librarianship/
CA1716
E888
E1182