カレントアウェアネス-E
No.199 2011.08.25
E1207
2011年版図書館職員の職業満足度調査(米国)
米Library Journal誌が,2011年6月1日付けの記事で,米国の図書館員を対象とした2011年版職業満足度調査の結果を公開した。同様の調査が2007年に行われている(E767参照)。
調査は2011年2月11日から3月25日にかけて行われ,3,612人が回答した。Library Journal誌やニュースレターの読者32,502人に対して電子メールで広報され,FacebookやTwitter等でも周知された。回答者のうち1,890人が公共図書館員,923人が大学図書館員,582人が学校図書館員,130人が企業・専門図書館員,87人はその他だった。年齢は,33%が50~59歳,約40%が30~49歳,10%が30歳未満だった。また,88%が女性で,86%がフルタイムの職員であり,64%が図書館情報学修士号所持者だった。
以下,同調査の主な結果を紹介する。
- 仕事に対する満足度について,回答者の70%が「満足している」「とても満足している」と答えた。これは2007年調査の結果を2ポイントだけ下回る数字である。
- 最も満足感を覚えることとして,回答者の49%が「利用者の助けになれることや人々のために働いていること」を挙げた。館種別では,学校図書館員の65%,公共図書館員の47%,大学図書館員の45%,企業図書館員の29%がそう答えた。
- 不満に思うことのトップ3は「給料の低さ」(23%),「組織の管理・運営のまずさ」(16%),「予算の悩み」(16%)だった。
- 勤務先図書館に対する要望(自由記述)については,「変化を受け入れ,将来における図書館の役割に対して新しい視点を持ってほしい」や「政府や企業の助成金への依存を減らし,より頑健な理事会を」等が挙がった。
- 脅威だと思うこととして,回答者の74%が「逼迫する予算」,69%が「インターネットがあれば図書館は不要だと思われること」,38%が「図書館を支持してくれない政治家」と答えた。他には「技術の進展についていくこと」や「官僚主義的な経営」等が挙がった。
- このような脅威に対する勤務先図書館の対応として,回答者の17%が「地域住民や政治家に対するPRやアドヴォカシー活動」,11%が「自館サービスのマーケティングや広報」と答えた。一方,16%が「不十分」,18%が「全く何もやっていない」と回答した。
- 「図書館の未来についてどう感じていますか?」という質問には,回答者の55%が「現在の危機は切り抜けることができるだろう。今は自分たちのコアを見つめなおす時」と楽観的な(ただし用心も込めた)回答をした。それに対して,38%はその先に大きな変化を感じて「我々は苦難の道を歩いている。これを越えれば図書館は根本的に変化する」と回答した。
- 「図書館情報学修士号はどれくらい重要ですか?」という質問には,回答者の30%が「非常に重要」,30%が「重要」,29%が「やや重要」,11%が「全く重要ではない」と答えた。
- 現在の職場におけるキャリアアップのチャンスについては回答者の30%が「素晴らしい」「とても良い」「良い」と答えた。「少ない」と答えたのは47%で,2007年調査の38.9%よりも増加している。
- 回答者の31%が積極的に転職活動をしており,6%は図書館以外の職を探している。満足度について「あまり満足してない」と答えた層(回答者の6%)に限ると,これらの結果はそれぞれ66%と21%であった。
Ref:
http://www.libraryjournal.com/lj/careerscareernews/890617-300/lj_2011_job_satisfaction_survey.html.csp
E767