カレントアウェアネス-E
No.173 2010.06.24
E1063
“2010 Library of the Year”受賞館が発表される(米国)
2010年6月7日,米国のLibrary Journal誌(LJ)と出版大手のGale社が選定する“2010 Library of the Year”が発表された。受賞したのは,オハイオ州のコロンバス・メトロポリタン図書館(Columbus Metropolitan Library:CML)である。同館は,米国の公共図書館を独自の基準で評価する“Hennen’s American Public Library Rating Index”でも,2008年に1位,2009年と2010年に2位になるなど高い評価を受けている。
LJの記事によると,CMLは中心となるオペレーションセンターと21の分館から構成され,オハイオ州フランクリン郡のおよそ85万人の住民にサービスを行っている。2009年の予算は約4,500万ドルで,州の予算削減の影響を受け2008年に比べて900万ドル近く減少している。住民1人当たりの年間貸出冊数は約20冊で,年間来館回数は約10回である。またウェブサイトへのアクセスも年間1,000万件ある。
CMLが評価されたポイントとして,優先順位を明確にした戦略計画がある。業務はこの計画に基づいて行われており,スタッフらもこの計画に誇りを持っているとのことである。優先事項には館内外に関する5つの項目が挙げられており,最も優先度の高い事項として,「若者」に対するサービスがある。米国公共図書館協会(PLA)等が主催する“Every Child Ready To Read @ Your Library”と呼ばれる,子どもたちの読書に関する能力を教育するための研修プログラムを担当以外のスタッフも受けており,館全体としてこのサービスを重要視していることが窺える。また,18の分館に設置されている「宿題支援センター」(Homework Help Centers)では,児童・生徒らに対して,資料やコンピュータ,プリンタの提供のほか,スタッフやボランティアによる学習指導などのサービスを行っている。2008年は31,780人に,2009年は38,735人に同サービスを提供しており,需要は大きい。
2番目の優先事項は,コンピュータの利用に関するサービスで,家庭からCMLのコンテンツにアクセスしている,あるいはCML館内のコンピュータを使っている利用者が主な対象とされている。CMLでは21の分館に1,600台のコンピュータを設置し,郡内でも最大規模のコンピュータ利用環境を提供しており,2009年には230万件の利用予約があったとのことである。また,利用者の操作支援などを行うコンピュータ教室も開講している。その他の優先事項としては,利用者に対して「ノー」と言わないことや,CMLの発展の中心となるスタッフを育成することなどが挙げられている。
2010 Library of the Yearの授賞式は2010年6月27日に,ワシントンD.C.で開かれれる米国図書館協会(ALA)の年次大会の中で行われる。
Ref:
http://www.libraryjournal.com/lj/home/883793-264/2010_library_of_the_year.html.csp
http://blog.gale.com/pressroom/corporate-news/columbus-metropolitan-library-named-library-of-the-year/
http://www.columbuslibrary.org/ebranch/index.cfm?pageid=38&view=all
http://www.examiner.com/x-49938-Columbus-Family-Examiner~y2010m6d8-The-Columbus-Metropolitan-Library-receives-a-national-award–The-2010-Library-of-the-Year-Award