カレントアウェアネス-E
No.173 2010.06.24
E1062
ポール・マッカートニー,LCのガーシュウィン賞を受賞
2010年6月2日,米国議会図書館(LC)がポピュラーソングの分野で優れた功績を挙げたアーティストに贈るガーシュウィン賞が,バラク・オバマ(Barack Obama)米国大統領の手により,ポール・マッカートニー(Paul McCartney)氏に授与された。
ガーシュウィン賞は,米国の伝説的な作詞作曲家であり,その豊富な手稿コレクションがLCに所蔵されている,ガーシュウィン兄弟を記念して設立された賞で,芸術表現と文化理解の媒体としての歌の振興を,生涯を通じて達成してきたアーティストに贈られている。同賞の目的は優れたアーティストの表彰に加え,LCが所蔵する豊富な音楽資料の認知を高め,その利用を促進することにもあるという。2007年にポール・サイモン(Paul Simon)氏に初めて授与され,2009年にスティービー・ワンダー(Stevie Wonder)氏が受賞,マッカートニー氏は3人目の受賞者となる。
受賞者は,LC内外の専門家から成る諮問委員会の助言の下,LCの館長が決定している。今回の諮問委員会には,第1回の受賞者であるサイモン氏,リッキー・マイナー(Rickey Minor;音楽ディレクター)氏,キャロル・ベイヤー・セイガー(Calore Bayer Sager;作詞作曲家)氏など,著名な音楽関係者5名が参加した。マッカートニー氏の受賞について,LCのビリントン(James H. Billington)館長は「サー(Sir)・ポールは50年以上に渡り,象徴的なグループの一員として,そして,ソロアーティストとして作曲し,演奏してきた。そのジャンルはロックンロールから,クラシックに及ぶ。しかし彼はまた,世界中での人道主義と行動主義に基づく活動を通じて,音楽を超えても影響を与えてきた。これはガーシュウィン賞の精神を象徴している」と述べている。
授与式後,その会場となったホワイトハウスのイーストルームで,マッカートニー氏の受賞を記念する特別コンサートが開催された。コンサートには,第2回の受賞者であるワンダー氏など米国のスター歌手が多数参加し,マッカートニー氏にゆかりのある楽曲を披露した。マッカートニー氏自身はホワイトハウスで演奏したくてたまらなかったというビートルズ時代の楽曲“Michelle”を,オバマ大統領と共にコンサートに出席していたミシェル夫人に向けて披露した。コンサートの最後にマッカートニー氏は“Hey Jude”を歌い,大統領を含めた出席者が合唱に加わった。このコンサートの模様は,2010年7月28日に米国の公共テレビPBSで放送されることになっている。
Ref:
http://www.loc.gov/today/pr/2010/10-119.html
http://www.loc.gov/today/pr/2009/09-230.html
http://www.loc.gov/about/awardshonors/gershwin/
http://news.yahoo.com/s/ap/20100602/ap_on_en_mu/us_white_house_mccartney
http://www.guardian.co.uk/music/2010/jun/06/paul-mccartney-gershwin-prize-obama
http://www.dispatch.co.za/entertainment/article.aspx?id=407040
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_67723