E1016 - ホームレス支援のため図書館がソーシャルワーカーを雇用(米)

カレントアウェアネス-E

No.165 2010.02.03

 

 E1016

ホームレス支援のため図書館がソーシャルワーカーを雇用(米)

 

 公共図書館におけるホームレスの来館者による問題は,以前から議論の対象となっている(CA1479E437参照)。誰にでも開かれているということが図書館の原則であるが,快適で安全な環境を提供するという観点からは,においや言動などについての他の来館者からの苦情も考慮しなければならない。米国サンフランシスコ市の中央図書館では,この問題に取り組むため,2009年からソーシャルワーカーを雇用している。サンフランシスコ・クロニクル紙の記事をもとに,その取組みを紹介する。

 同図書館は,サンフランシスコ市の厚生当局の協力を得て,精神科ソーシャルワーカーのエスゲラ(Leah Esguerra)氏を雇用している。ソーシャルワーカーがフルタイムで図書館に勤務するというのは,全米でもおそらく初の試みである。同氏は,着任以来150人以上のホームレスの来館者に対し,福祉サービスを紹介するなどの支援を行ってきた。また,職員や来館者からの苦情に対応したり,職員に対する研修として,周囲に迷惑のかかる言動に直面した場合の対処法の指導なども行っている。

 記事では,元ホームレスの人を「衛生・安全スタッフ」として雇用する同図書館の取組みについても紹介されている。「衛生・安全スタッフ」とは,エスゲラ氏の監督のもと図書館で実施されている12週間の社会復帰訓練の後に図書館に雇用されたスタッフの呼称である。その仕事は,週に20時間,トイレが清潔で安全に保たれているように監視するとともに,来館したホームレスの人に対し,ホームレスの人向けのシェルターやシャワー設備,食事や職業訓練プログラムについてのパンフレットを手渡すというものである。

 こうした取組みの結果,他人に怒鳴るなどの問題行動が減少し,来館者からの反応は好評のようである。ただし,ホームレスの来館者を一律に扱ってしまうことがないようには気をつけているようである。同図書館の職員は,「図書館は全ての人に開かれている方がよいが,一線を越えた言動は問題行動となる」としながらも,「(ホームレスの人に対し)レッテルを貼ったり価値判断をしたりはしていない」とコメントしている。エスゲラ氏も,ホームレスの来館者の多くは他の来館者と同様に本を読みインターネットにアクセスするために来館しており,その点は心に留めておくようにしている,と述べている。

Ref:
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2010/01/10/BAIT1BF6E3.DTL
http://www.libraryjournal.com/article/CA6714375.html
CA1479
E437
http://current.ndl.go.jp/node/14415