2021年11月23日、フランス図書館員協会(ABF)のLégothèque委員会が、図書館とトランスジェンダーの人々に関する調査結果についての記事を、ウェブサイトで公開しました。
同委員会は、図書館における包摂性や自己構築に関する取り組みを行っています。記事の中では、委員会が2021年6月から11月にかけてトランスジェンダー当事者を対象に実施し、135件の回答を得た調査の結果が紹介されています。
回答者の内、31人は図書館にあまり行かないと回答しており、その理由として、利用者登録の過程で不快感やトランスフォビア的な反応を示される場合があること等が挙げられています。また、利用者が調査等で実際に使用している語彙と図書館の目録で用いられている語彙に齟齬があると指摘されています。加えて、約82%が図書館滞在中に「良い」「どちらかと言えば良い」と感じている一方、全体の45.5%は図書館を「安全な場所」と感じないと回答したこと等が述べられています。
調査を踏まえて、記事の中では、図書館に求められるものとして、看板の掲示や利用者登録の簡素化等の来館しやすくなるような工夫、関連コレクションの充実、開かれたインクルーシブな空間の構築をはじめとした取組を挙げています。
Retour sur le questionnaire Légothèque portant sur l’Accueil des personnes trans en bibliothèques.(Légothèque, 2021/11/23)
https://legothequeabf.wordpress.com/2021/11/23/retour-sur-le-questionnaire-legotheque-portant-sur-laccueil-des-personnes-trans-en-bibliotheques/
Accueil des personnes trans en bibliothèque(ABF, 2021/6/30)
https://www.abf.asso.fr/4/117/929/ABF/accueil-des-personnes-trans-en-bibliotheque
※同調査の実施のお知らせです。
参考:
米国図書館協会(ALA)、トランスジェンダーの人々の諸権利を支持する声明を発表
Posted 2020年7月8日
https://current.ndl.go.jp/node/41450
フランス図書館員協会、図書館のトイレに関するコンクール“Chouettes Toilettes”を開催
Posted 2021年1月20日
https://current.ndl.go.jp/node/43033
CA1725 – セクシュアル・マイノリティの問題と図書館への期待 / 小澤かおる
カレントアウェアネス No.305 2010年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1725