Internet Archive(IA)による全書籍の売り上げデータ10年分の要求に対する大手出版社4社の返答が公開

米国の出版情報誌“Publishers Weekly”の2021年8月13日付の記事で、Internet Archive(IA)が要求した全書籍の売り上げデータ10年分の提供について、Hachette Book Group・HarperCollins社・Wiley社・Penguin Random House社側の返答が公開されたと報じられています。

売り上げデータは、同商業出版社4社がIAの“Controlled Digital Lending(CDL)”による電子書籍貸出の停止を求めて提起した著作権侵害訴訟において、IAの電子書籍貸出が書籍の売り上げに及ぼす影響を検証することを目的に要求されていました。

8月12日付で4社側の弁護士から提出された文書では、法的に意義のある結果が得られず訴訟の遅延をもたらすものであり、原告側への負担が検証により得られる価値を上回るため、要求は却下されるべきであること等が述べられています。

また、書籍は代替可能なものではないため、異なる書籍間での比較は不可能であり、映画化をはじめとしたその他の要因によって売り上げは大幅に変わり得ることから、検証の前提が誤っていると指摘しています。

Publishers Blast Internet Archive’s ‘Extraordinary’ Demand for Sales Data(Publishers Weekly, 2021/8/16)
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/digital/copyright/article/87142-publishers-blast-internet-archive-s-extraordinary-demand-for-sales-data.html

Hachette Book Group, Inc. v. Internet Archive Response to Motion — Document #49(Court Listener, 2021/8/12)
https://www.courtlistener.com/docket/17211300/49/hachette-book-group-inc-v-internet-archive/

参考:
Internet Archive(IA)、大手出版社4社の全書籍の売り上げデータ10年分を要求:IAによる電子書籍貸出の書籍の売り上げへの影響を検証するため
Posted 2021年8月11日
https://current.ndl.go.jp/node/44571

Internet Archive(IA)、大手出版社4社の著作権侵害訴訟に対する答弁書を提出:“Controlled Digital Lending(CDL)”による電子書籍貸出の適法性を主張
Posted 2020年8月3日
https://current.ndl.go.jp/node/41641

Internet Archive(IA)、“National Emergency Library”の終了を早めることを発表
Posted 2020年6月12日
https://current.ndl.go.jp/node/41213

米国の複数の大手出版社がInternet Archive(IA)に対する著作権侵害訴訟を提訴
Posted 2020年6月3日
https://current.ndl.go.jp/node/41125