Internet Archive(IA)、大手出版社4社の全書籍の売り上げデータ10年分を要求:IAによる電子書籍貸出の書籍の売り上げへの影響を検証するため

米国の出版情報誌“Publishers Weekly”の2021年8月9日付の記事で、Internet Archive(IA)が、Hachette Book Group・HarperCollins社・Wiley社・Penguin Random House社に対し、全書籍の売り上げについて2011年以降の月次データを要求したことが報じられています。

同商業出版社4社がIAの“Controlled Digital Lending(CDL)”による電子書籍貸出の停止を求めて提起した著作権侵害訴訟において、IAの電子書籍貸出が書籍の売り上げに及ぼす影響を検証することを目的に要求されました。

2021年8月9日付でInternet Archive側の弁護士から提出された文書では、出版者側から訴訟対象書籍の売り上げの年次データは提供されたものの、書籍の売り上げの推移には他の要因があることや全書籍分のデータ出力の負担等を理由に、訴訟対象外の書籍の売り上げデータ提供に反対があったと述べられています。

これに対し、同文書の中で、訴訟に不可欠な検証であり、貸出対象と対象外の書籍のデータを比較する必要があること、各社のデータベースから取得可能なデータであること、電子書籍貸出開始前後の比較や約3か月間行われた“National Emergency Library”事業の影響を明らかにするために月次データが必要であること等を主張しています。

Internet Archive Seeking 10 Years of Publisher Sales Data for Its Fair Use Defense(Publishers Weekly, 2021/8/9)
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/libraries/article/87104-internet-archive-seeking-10-years-of-publisher-sales-data-for-its-fair-use-defense.html

Hachette Book Group, Inc. v. Internet Archive Local Rule 37.2 Conference — Document #47(Court Listener, 2021/8/9)
https://www.courtlistener.com/docket/17211300/47/hachette-book-group-inc-v-internet-archive/
※IA側の弁護士から裁判所に提出された文書です。

参考:
Internet Archive(IA)、大手出版社4社の著作権侵害訴訟に対する答弁書を提出:“Controlled Digital Lending(CDL)”による電子書籍貸出の適法性を主張
Posted 2020年8月3日
https://current.ndl.go.jp/node/41641

Internet Archive(IA)、“National Emergency Library”の終了を早めることを発表
Posted 2020年6月12日
https://current.ndl.go.jp/node/41213

米国の複数の大手出版社がInternet Archive(IA)に対する著作権侵害訴訟を提訴
Posted 2020年6月3日
https://current.ndl.go.jp/node/41125