米国議会図書館(LC)、同館のコレクションを活用したデジタル人文学研究を支援する“Computing Cultural Heritage in the Cloud”プロジェクトの開始を発表

2021年6月17日、米国議会図書館(LC)が、“Computing Cultural Heritage in the Cloud”プロジェクトの開始を発表しています。

同プロジェクトは、LCのコレクションと最先端の技術を組み合わせた大規模なデジタル人文学研究を支援するものです。アンドリュー W.メロン財団からの100万ドルの助成を受けて、デジタル人文学・コンピュータ科学の3人の研究者と同館の主題専門家・技術専門家が協力して以下の取組を行います。

・Lincoln Mullen氏(ジョージ・メイソン大学美学美術史学部准教授)
同館のコレクション全体から聖書の引用箇所を検出する“America’s Public Bible: Machine-Learning Detection of Biblical Quotations Across LOC Collections via Cloud Computing”

・Lauren Tilton氏(リッチモンド大学レトリック・コミュニケーション学部助教)
コンテキストを考慮して発見性をより高めるコンピュータービジョンの手法を検討するため、20世紀初頭の5つの写真コレクションの約25万枚の画像を調査する“Access & Discovery of Documentary Images”

・Andromeda Yelton氏(ソフトウェアエンジニア/図書館員)
機械学習とあいまい検索を活用した検索機能を活用し、同館のコレクションの発見・ナビゲートを支援する“Situating Ourselves in Cultural Heritage: Using Neural Nets to Expand the Reach of Metadata and See Cultural Data on Our Own Terms”

同館では、この事業に必要な技能や知識を拡充させることで、機械学習・コンピュータビジョン・インタラクティブ・データビジュアライゼーションとったデジタル人文学・コンピュータ科学分野のクラウドベースのコンピューティング研究の新たな手法を支援することが可能になり、その手法を基礎にして、他の文化機関や同館が、コレクションのテキストや画像へのアクセスの改善につなげることができるとしています。

Renowned Digital Humanities Researchers Begin Computing Cultural Heritage in the Cloud(LC,2021/6/17)
https://www.loc.gov/item/prn-21-032/renowned-digital-humanities-researchers-begin-computing-cultural-heritage-in-the-cloud/2021-06-17/

Computing Cultural Heritage in the Cloud(LC)
https://labs.loc.gov/work/experiments/cchc/

参考:
米国議会図書館、コレクションの創造的な活用を目的とした“labs.loc.gov”を公開
Posted 2017年9月20日
https://current.ndl.go.jp/node/34686

米国議会図書館(LC)、デジタル研究のためのガイドを公開
Posted 2018年1月9日
https://current.ndl.go.jp/node/35279

米国議会図書館(LC)、クラウドソーシングのためのプラットフォームCROWD(BETA)を公開
Posted 2018年10月25日
https://current.ndl.go.jp/node/36910

米国議会図書館(LC)や英国芸術・人文科学研究会議(AHRC)等の米・英の機関が文化機関におけるデジタルスカラシップの役割をテーマに連携
Posted 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/node/39074