2021年4月7日、韓国教育学術情報院(KERIS)が、教育部と共同で、報告書『2020年大学図書館統計分析および教育・研究成果との関係分析』を公開したと発表しています。
KERISでは2009年から毎年、大学図書館の蔵書・利用・資料購入費等の現状調査を行っています。同報告書は、全国433大学を対象に2020年の現況調査を実施するとともに、最近10年間の変化を分析し、大学図書館の現況と教育・研究成果への影響の要因を調査したものです。
主要な分析結果として、
・学生1人当たりの年間購入冊数は10年間で大きな変化はないものの、学生1人当たりの貸出冊数は約50%減少している。減少の要因として、学生が電子書籍を利用するようになったことや、講義においても電子資料や動画といった資料が多く活用されるようになったことがある。
・学生1人当たりの資料購入費は10年間で大きな変化はなかったが、電子資料の購入費の平均額は50%増加し、電子資料購入費が大学の2020年度の資料購入費の約69%を占めている(2011年は49%)。
・学生1人当たりの商用DBの利用件数は10年間で94%増加しており、学生の資料利用傾向が電子資料に急速に転換していること示している。その要因として、定評のある電子資料の活用に関する学生の関心の拡大や、電子資料の利用者教育の拡大があげられる。
・学生数は減少している一方、大学図書館の利用者教育への参加数が10年間で30%拡大した。これは、図書館での情報活用教育等の講義の別途の開設や、専攻における授業との連携を通した教育機会の拡大等といった取組の結果である。
といった点が挙げられています。
KERISでは、電子資料の共同利用支援のためのライセンス契約事業を通じて、大学における電子資料の利用拡大を促進し、「大学図書館評価」を通した図書館の現況評価とサービス改善をけん引できるよう最善を尽くすとしています。
KERIS, ‘2020년 대학도서관 통계조사 및 최근 10년 간 추이’ 조사 발표(KERIS、「2020年大学図書館統計調査および最近10年間の推移」調査発表)(KERIS,2021/4/7)
https://www.keris.or.kr/main/na/ntt/selectNttInfo.do?mi=1088&nttSn=37466
2020년 대학도서관 통계 분석 및 교육·연구 성과와의 관계 분석(2020年大学図書館統計分析および教育・研究成果との関係分析)(KERIS)
https://www.keris.or.kr/main/ad/pblcte/selectPblctePRInfo.do?mi=1140&pblcteSeq=13430
https://www.keris.or.kr/common/fileDownload.do?fileKey=cccc375ae3a635c60c2c550c94ba7dae&dwlTy=pblcte
※二つ目のリンクが報告書本文です[PDF:118ページ]
参考:
韓国教育学術情報院(KERIS)、学術研究情報サービス(RISS)を通じて大学所属の研究者等に無料で提供する電子資料が39種類になったと発表:2022年度には48種類に拡大予定
Posted 2021年4月6日
https://current.ndl.go.jp/node/43746
韓国・教育部、「第二次大学図書館振興総合計画(’19年~’23年)」を発表
Posted 2019年1月21日
https://current.ndl.go.jp/node/37413
E2135 – 私達の人生を変える図書館:第3次図書館発展総合計画(韓国)
カレントアウェアネス-E No.368 2019.05.16
https://current.ndl.go.jp/e2135