2021年3月1日、米国のシンクタンク・ニューアメリカは、パンデミック下の米国における公共図書館サービスの利用に関する調査報告書“Public Libraries and the Pandemic:Digital Shifts and Disparities to Overcome”を発表しました。
ニューアメリカは、新型コロナウイルス感染症の流行前後における、公共図書館とそのオンラインリソースに関する利用・アクセスの変化を把握するため、定量的・定性的な手法を用いた調査を行いました。一つ目の調査は、米国の成人を対象にしたオンラインの標本調査(2020年9月~10月に実施、回答者数2,620人)、二つ目の調査は教育者を対象としたオンライン調査(2020年12月に実施、回答者数118人)です。これらの調査では、図書館に対する意識や態度、図書館が提供するオンラインリソースの利用状況、パンデミックが利用パターンに与えた影響が調査対象となりました。また、図書館側の指導者層を対象としたインタビュー調査も実施しています。
報告書の要旨では、調査結果として、オンラインリソース利用への移行が見られることや、公共図書館とそのオンラインサービスが高い好感度を得ていることを紹介しています。一方で、有色人種・低所得層・自宅からインターネットにアクセスできない人々へのアウトリーチやサービスの向上において、課題が見られたことを指摘しています。
報告書では、最後に政策立案者・図書館・教育コミュニティに向けて計8点の推奨事項を示しています。
Public Libraries and the Pandemic:Digital Shifts and Disparities to Overcome(New America, 2021/3/1)
https://www.newamerica.org/education-policy/reports/public-libraries-and-the-pandemic/
参考:
米国上院に「図書館インフラ支援法案(A bill to support library infrastructure)」が提出される:図書館施設の長期的な改善や情報へのアクセスが困難な地域・人々へのサービス拡充が目的
Posted 2021年2月5日
https://current.ndl.go.jp/node/43211
米・公共図書館協会(PLA)、Microsoft社と連携し、地方の公共図書館における高速インターネットアクセス拡大支援事業の開始を発表:図書館の敷地内もしくはその近くに公衆Wi-Fiへのアクセスポイントを設置
Posted 2020年4月30日
https://current.ndl.go.jp/node/40876
E2358 – ロックダウン下の英国公共図書館レポートに見る図書館の貢献
カレントアウェアネス-E No.408 2021.02.18
https://current.ndl.go.jp/e2358