米国・英国・オーストラリアにおける公共図書館のサービスに関する調査報告書(記事紹介)

米国の出版情報誌“Publishers Weekly”に、2021年5月6日付で、公共図書館のサービス状況に関する調査報告書についての記事“Report Urges Library Leaders to Address Decline in Public Library Usage Stats”が掲載されました。

英国の書店の元最高経営責任者であるTim Coates氏による調査報告書“Freckle Report 2021”の内容が紹介されています。記事によると、同報告書は、米国・英国・オーストラリアにおける公共図書館のサービスに焦点を当てており、図書館に関係する政府機関等が発表したデータや2021年4月に実施された調査の結果をまとめています。

公共図書館の来館利用は、米国では2018年までの8年間で31%、英国では2000年以降70%、オーストラリアでは10年間で22%減少したと述べられています。また、新型コロナウイルス感染症感染拡大の読書行動に対する影響について、全ての年齢層で読書量が増えたこと、デジタルコンテンツの提供・利用が増えた一方、紙媒体の資料の利用が減少したこと等を挙げています。

その他、公共図書館におけるデジタルコンテンツへの支出が増えており、出版者との間にさらなる協力関係を築く方法を図書館員が模索する必要があること、公共図書館に関する十分なデータがなく、図書館の有用性・機能についての信頼性等を備えたタイムリーな評価が課題となっていることが指摘されています。

Report Urges Library Leaders to Address Decline in Public Library Usage Stats(Publishers Weekly, 2021/5/6)
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/libraries/article/86256-report-urges-library-leaders-to-address-decline-in-public-library-usage.html

参考:
米国人は映画館よりも図書館を多く訪問:2019年の世論調査から(米国)
Posted 2020年1月27日
https://current.ndl.go.jp/node/40065

E2358 – ロックダウン下の英国公共図書館レポートに見る図書館の貢献
カレントアウェアネス-E No.408 2021.02.18
https://current.ndl.go.jp/e2358

E2371 – 図書館に関する意識:新型コロナウイルス感染症の影響
カレントアウェアネス-E No.411 2021.04.22
https://current.ndl.go.jp/e2371

E2323 – 諸外国における読書習慣調査と読書推進活動
カレントアウェアネス-E No.402 2020.11.12
https://current.ndl.go.jp/e2323