独・マックスプランク協会所属の若手研究者によるオープンサイエンスの実践状況の調査(文献紹介)

2021年1月22日付で、オープンアクセス(OA)出版社Frontiersの計量書誌学等を扱う査読誌“Frontiers in Research Metrics and Analytics”に、独・マックスプランク研究所の研究者らによる共著論文“Where Do Early Career Researchers Stand on Open Science Practices? A Survey Within the Max Planck Society”が掲載されています。

同論文は、著者らがマックスプランク協会所属の若手研究者(Early career researchers)に実施した、オープンサイエンスに関するアンケート調査について報告するものです。著者らは同協会に所属する約5,100人の博士号取得候補生(Doctoral Candidate)の研究者を対象に、オープンアクセス(OA)出版・オープンデータ・研究の事前登録・登録済報告書・レプリケーション研究などオープンサイエンスと関連した取り組みについて、知識・意見・実践状況を自己申告で評価するアンケート調査を実施しました。調査には568人から回答を得ています。

著者らはアンケート調査の結果として、若手研究者がオープンサイエンスと関連した様々な取組に対して概ね肯定的な見解を示しより多くの知識を求めていることや、調査以前の実践率は高くなかったものの今後積極的の実践が予想されることなどを報告しています。また、各取り組みへの回答傾向に研究分野間で相違が見られる点は、回答者の所属する研究分野内での必要性や普及状況を反映している可能性があり、ポリシー策定・教育・インセンティブの設計等において、考慮する必要があることなどを指摘しています。

Toribio-Flórez1, Daniel. et al. Where Do Early Career Researchers Stand on Open Science Practices? A Survey Within the Max Planck Society. Frontiers in Research Metrics and Analytics. 2021, 5:586992.
https://doi.org/10.3389/frma.2020.586992

参考:
E2087 – 学術シンポジウム「オープンサイエンスの展開」<報告>
カレントアウェアネス-E No.360 2018.12.20
https://current.ndl.go.jp/e2087

オランダの修士課程の大学院生の研究データ管理(RDM)に対する意識調査(文献紹介)
Posted 2020年8月19日
https://current.ndl.go.jp/node/41783

PLOS ONE、Registered Reportの受付開始を発表
Posted 2020年1月21日
https://current.ndl.go.jp/node/40015

研究評価指標等に関するオープンアクセス雑誌 “Frontiers in Research Metrics and Analytics”創刊
Posted 2016年7月26日
https://current.ndl.go.jp/node/32160