公共図書館の分館のサービスにおけるオープンデータの活用(文献紹介)

2020年10月3日付で、Taylor&Francis社が刊行する“Public Library Quarterly”に、公共図書館の分館のサービスにオープンデータを活用する試みに関する論文“Using Open Data to Inform Public Library Branch Services”が掲載されました。

同論文では、米国のシアトルの公共図書館が、利用者の構成や地域の人口変動を把握できる、オープンソースのシステムのプロトタイプ開発の経緯等がまとめられています。

現在提供されている類似システムは保守性、各館に合わせたカスタマイズ、使用のためのスキル等の面で課題があるということが指摘されています。この状況を踏まえ、シアトルの公共図書館の分館の職員へのインタビュー等を通してニーズを調査し、利用するオープンデータの検討が行われ、米国・国勢調査局のデータをもとに、プロトタイプが作成されました。同プロトタイプは、プログラミング言語であるR言語のパッケージ“Shiny”を用いて、対象地域の年齢、世帯収入の中央値、家庭で使用される言語等のデータを地図上に表すものであると述べられています。

まとめの箇所では、同プロジェクトのような、オープンデータ関連のプロジェクトに参加することで、図書館員が人口統計のオープンデータを知り、図書館サービスへのオープンデータの活用に関心を持つ機会となるということ等に触れています。

Using Open Data to Inform Public Library Branch Services(Taylor&Francis Online, 2020/10/3)
https://doi.org/10.1080/01616846.2020.1798206

参考:
E2235 – 2019アーバンデータチャレンジ京都 in NDL関西館<報告>
カレントアウェアネス-E No.386 2020.02.27
https://current.ndl.go.jp/e2235