新型コロナウイルス感染症の拡大期間中における米・ニューヨーク市の公共図書館のTwitterによるコミュニティ支援(文献紹介)

2020年10月19日付で、Taylor&Francisグループが刊行する公共図書館に関するテーマを扱う査読誌“Public Library Quarterly”に、クウェート大学の2人の情報学研究者による共著論文“Response to COVID-19 Pandemic: Where Do Public Libraries Stand?”がオープンアクセスで公開されています。

著者らは、新型コロナウイルス感染症の拡大開始後の数か月間に、公共図書館がどのようにTwitterを活用していたかを明らかにする目的で、2019年12月から2020年4月における米国・ニューヨーク市の公共図書館のTwitterアカウントが公開したツイートの分析を実施しました。対象期間中にTwitterをアクティブに運用していた、ニューヨーク市内の公共図書館38館のアカウントによる合計9,450件のツイートが分析の対象とされています。

著者らは分析対象としたツイートのうち、図書館サービスに関するお知らせや推薦図書紹介、イベントに関するお知らせなどの平常時に近い内容のツイートが85.5%を占め、直接的明示的に新型コロナウイルス感染症に言及したツイートは14.5%であったことを報告しています。また、感染症に言及したツイートには、施設の閉館中に利用可能なオンラインサービスの案内、コミュニティ向けの支援メッセージの投稿、財政・医療・食料支援に関する情報提供等が含まれていたことを指摘しています。

著者らは分析の結果から、公共図書館によるツイートは、ニューヨーク市民が緊張した日々を強いられる中で、感染症に関連する情報提供を行いながらも、平常時と同様のツイートを継続することで、コミュニティ内の日常感覚を維持する機能を果たしていたと考察しています。

Alajmi, Bibi M.; Albudaiwi, Dalal. Response to COVID-19 Pandemic: Where Do Public Libraries Stand?. Public Library Quarterly. 2020.
https://doi.org/10.1080/01616846.2020.1827618

参考:
米・公共図書館協会(PLA)、新型コロナウイルス感染拡大下の公共図書館の対応状況の調査結果を発表
Posted 2020年4月10日
https://current.ndl.go.jp/node/40748

瑞浪市民図書館(岐阜県)、新型コロナウイルス感染症による臨時休館期間中、SNS上で日替わりで職員の推薦本を紹介する「#おうちで図書館」を実施
Posted 2020年4月14日
https://current.ndl.go.jp/node/40759

新型コロナウイルス感染症拡大下の図書館ネコ(米国・アイルランド)(記事紹介)
Posted 2020年8月26日
https://current.ndl.go.jp/node/41834