米国議会図書館(LC)、図書館等における機械学習の応用・実践の現状を示したLC Labsによる委託調査報告書“Machine Learning + Libraries”を公開

2020年7月22日、米国議会図書館(LC)は、LC Labsが米国・ノースイースタン大学のコーデル(Ryan Cordell)准教授へ委託した調査報告書である“Machine Learning + Libraries”の公開を発表しました。

LC Labsでは、2023年度まで実施中の戦略計画“Enriching the Library Experience”の中で規定されたデジタル戦略を達成するため、2019年から機械学習技術が図書館に与える機会やその応用に内在する課題等を調査することを目的とした取り組みとして“Season of Machine Learning”を展開しています。この“Season of Machine Learning”の一環として、図書館その他の文化遺産機関における機械学習の応用・実践の現状に関する幅広い見解を提供するために、デジタル人文学に関する熟練した実践者であるコーデル准教授への委託調査報告書の作成が依頼されました。

公開されたコーデル准教授による報告書では、機械学習・人工知能(AI)等の基本用語の整理、図書館への応用の歴史の概説、クラウドソーシング・手書き文書検索・コレクション管理など機械学習の実装におけるリスクと潜在的な利点といったテーマが扱われ、結論部分では、機械学習の責任を持った実装・データへのアクセス状況の改善・インフラストラクチャーの整備・専門性の養成に関する提言が行われています。

Machine Learning + Libraries: A Report on the State of the Field(LC The Signal,2020/7/22)
https://blogs.loc.gov/thesignal/2020/07/machine-learning-libraries-a-report-on-the-state-of-the-field/

Machine Learning + Libraries: A Report on the State of the Field [PDF:97ページ](LC Labs,2020/7/14)
https://labs.loc.gov/static/labs/work/reports/Cordell-LOC-ML-report.pdf

参考:
E2272 – データサイエンス,機械学習,AIの責任ある運用のために
カレントアウェアネス-E No.393 2020.06.25
https://current.ndl.go.jp/e2272

E2121 – 米国議会図書館の新たな戦略計画
カレントアウェアネス-E No.366 2019.03.28
https://current.ndl.go.jp/e2121

米国議会図書館(LC)、LC Labsにおいて、既存のテキスト化ツールを用いた、米国民俗センター所蔵の録音資料のテキスト同時自動生成に関する概念実証を開始
Posted 2020年7月9日
https://current.ndl.go.jp/node/41464