2020年4月1日付の国際図書館連盟(IFLA)著作権等法的問題委員会(CLM)のお知らせで、オーストラリア・メルボルン大学ロースクールのギブリン(Rebecca Giblin)准教授らが新たに公開した調査報告書“Driven By Demand: Public Library Perspectives on the Elending Market”が紹介されています。
ギブリン准教授らによる調査は、同准教授らが主導する電子書籍貸出に関する調査研究プロジェクト“eLending Project”の一環として行われました。出版社による図書館向け電子書籍ライセンスの提供状況が各図書館の電子書籍選書の意思決定にどのような影響を与えているか、各図書館は電子書籍タイトルの不足とコミュニティの多様なニーズとのバランスをどのようにとっているかの調査を目的として、オーストラリア全土の図書館を対象としたアンケート調査が行われ、アンケート結果に基づいて調査報告書が作成されました。
公開された調査報告書では、出版社が設定した価格とライセンスの条項が、調査対象となった公共図書館の電子書籍コレクション構築に実際に影響を与えていること、利用者のニーズに応えるため好ましくない条件で図書館が電子書籍を購入しているケースがあること、図書館向け電子書籍は成長市場であるにもかかわらず図書館や利用者は必ずしもその恩恵を得られていないこと、などが指摘されています。
調査報告書は“eLending Project”のウェブサイト上から全文をダウンロードできます。
Hard Choices: Libraries Face Major Challenges in Meeting Reader eLending Demand(IFLA,2020/4/1)
https://www.ifla.org/node/92984
Driven By Demand: Public Library Perspectives on the Elending Market [PDF:26ページ](eLending Project)
http://elendingproject.org/report.pdf
関連:
eLending Project
http://elendingproject.org/
参考:
E1607 – IFLA,電子書籍の貸出をめぐる各国の動向を紹介
カレントアウェアネス-E No.266 2014.09.11
https://current.ndl.go.jp/e1607
オーストラリア図書館協会、図書館における電子書籍貸出サービスの状況に関する調査結果を公表(2014年)
Posted 2014年6月17日
https://current.ndl.go.jp/node/26362