プレプリントサーバarXivに2020年2月27日付で、論文“Who pays? Comparing cost sharing models for a Gold Open Access publication environment”が公開されています。
同論文はドイツ研究振興協会(DFG)の助成により、独・ビーレフェルト大学のAndre Bruns氏ら3人の共著により執筆されました。論文ではまず、Web of Science、DOAJ、及びビーレフェルト大学図書館や独・Max Planck Digital Library(MPDL)等によるオープンアクセス(OA)出版物の論文処理費用(APC)の透明・効率的管理を目指すプロジェクト“INTACT”が収集した機関の実際に支払したAPCのデータセット“OpenAPC”等を用いて、ドイツの研究機関によるゴールドOA誌への出版物と出版のために支払したAPC価格に関するデータモデルが設定されています。
続いて、設定された出版物・APC支払額のデータモデルに対して5種類のAPC費用負担モデルが想定されています。想定されたAPC費用負担モデルは、論文の第一著者所属機関が負担するモデル・別刷り請求先の著者(Reprint author)の所属機関が負担するモデル・論文著者の所属機関として表記された機関が均等に負担するモデル・論文著者と所属機関の組み合わせによる重みづけに基づく割合で各機関が負担するモデル・論文著者数による重みづけに基づく割合で著者の所属機関が負担するモデルの5種類で、これを出版物・APC支払額のデータモデルへ適用し分析が試みられています。
論文では分析の結果として、大半の機関にとって、どの費用負担モデルでもAPC支出額はほぼ同様となるが、各モデルの外れ値に該当する機関は特定のモデルを好む可能性があること、などが示されています。なお、同論文はビーレフェルト大学の機関リポジトリでも公開されています。
Andre Bruns, Christine Rimmert, Niels Taubert. Who pays? Comparing cost sharing models for a Gold Open Access publication environment
https://arxiv.org/abs/2002.12092
https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2002/2002.12092.pdf
※二つ目のリンクが文献のフルテキストです。[PDF:26ページ]
Andre Bruns, Christine Rimmert, Niels Taubert. Who pays? Comparing cost sharing models for a Gold Open Access publication environment(PUB – Publications at Bielefeld University)
https://pub.uni-bielefeld.de/record/2937425
参考:
独・OA2020-DEによるオープンアクセス(OA)出版への「転換契約」に関する新しいモデルの提案(記事紹介)
Posted 2020年3月5日
https://current.ndl.go.jp/node/40407
独・OA2020-DE、オープンアクセス(OA)出版のための資金調達要件に関する調査レポートを公開
Posted 2019年11月22日
https://current.ndl.go.jp/node/39569
大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)、論文公表実態調査(2019年度)の結果を公開
Posted 2020年3月4日
https://current.ndl.go.jp/node/40394