文献分析に基づくドイツのオープンアクセス(OA)状況に関する調査(文献紹介)

ドイツ・ボン大学のNeda Abediyarandi氏とGESIS- Leibniz Institute for the Social SciencesのPhilipp Mayr氏による、2000年から2017年までにドイツ国内の大学で発表された文献分析に基づくドイツのオープンアクセス(OA)状況に関する論文“The State of Open Access in Germany: An Analysis of the Publication Output of German Universities”がarXiv上で公開されました。この論文は2019年開催の17th International Conference on Scientometrics and Informetricsのポスター発表としてアクセプトされています。

この研究は、2000年から2017年までの期間に、所属機関の研究者の発表文献がWeb of Science(WoS)内に2,000件以上収録されているドイツ国内66大学を対象としています。研究では、WoSから66大学が対象期間内に発表した文献を抽出し、無料公開の研究論文に誘導するサービスUnpaywallを用いるなどして、抽出した文献をOA状況によりゴールドOA、グリーンOA、非OAに分類する方法で分析されています。

公開された研究結果では、WoSで文献ヒット数の多かったドイツ国内の上位10大学が2000年から2017年までに発表した文献全体のOA状況を分析するといずれの大学でも50%前後が非OAであったこと、WoSにヒットした文献数に応じて大学を3グループ化して経年変化を追った分析では、いずれのグループでも2017年に発表された文献の50%以上が非OAの状況にあること、などが示されています。

Neda Abediyarandi, Philipp Mayr. (2019) The State of Open Access in Germany: An Analysis of the Publication Output of German Universities. [PDF:2ページ](arXiv)
https://arxiv.org/abs/1905.00011

参考:
F1000と独・Max Planck Digital Library、オープンアクセス(OA)出版について合意
Posted 2018年12月5日
http://current.ndl.go.jp/node/37160

ドイツ・DEALプロジェクト、Wiley社と3年間のOA出版に関するパートナーシップを締結
Posted 2019年1月17日
http://current.ndl.go.jp/node/37386

独・マックスプランク協会、英国王立協会とオープンアクセス出版について合意
Posted 2018年8月23日
http://current.ndl.go.jp/node/36522

独マックス・プランク協会、英IOP Publishingとオープンアクセスパイロット契約を締結 ハイブリッドOAのAPCを一括管理
Posted 2018年3月13日
http://current.ndl.go.jp/node/35639