cOAlition S、Plan S原則への準拠状況を確認するために必要なデータに関する委託調査の報告書を公開

2020年2月7日、cOAlition Sは、欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeの代理として英・Jiscがコンサルタント会社Delta Thinkへの委託により実施した、Plan S原則への準拠状況を確認するために必要なデータに関する調査報告書が公開されたことを発表しました。

公開された報告書は、Plan S原則の要件を完全に満たしたジャーナル・プラットフォーム等の「出版の場(publishing venue)」を確認するために、研究者が必要とする情報に重点を置いて作成されました。得られた知見を通して、特定の「出版の場」に関して必要なデータとして複数の詳細レベルを許容すべきであること、データ構造はPlan S原則に準拠しているかどうかだけでなく準拠のために用意された4つの方法それぞれにどのように評価されるかを把握できるものであること、特定のデータ要件の4つの方法それぞれへの影響の与え方などが示されています。報告書はPlan S原則準拠のための方法はそれぞれ異なるニーズを持っていることを確認した上で、データ仕様の設定に関する次の段階へ向けた推奨を行っています。

報告書は研究データ公開プラットフォームfigshare上で公開されています。cOAlition Sは今回公開された報告書が、委託調査とは別のプロジェクトとして実施されている、Plan S原則に準拠した「出版の場」を特定する著者向けツール“Journal Checker tool”開発支援のための潜在的プロセスを明らかにしている、としています。

Report on the data needed to identify Plan S compliance(cOAlition S,2020/2/7)
https://www.coalition-s.org/report-on-the-data-needed-to-identify-plan-s-compliance/

Data needed to identify Plan S Compliance(figshare)
https://doi.org/10.6084/m9.figshare.c.4847646.v2

参考:
Science Europe、研究成果物の完全で即時のオープンアクセスを実現するための公的助成機関によるイニシアチブ“cOAlition S”の開始を発表
Posted 2018年9月6日
https://current.ndl.go.jp/node/36610

Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
https://current.ndl.go.jp/node/38293

学会・専門協会出版協会(ALPSP)、学会系出版社の即時オープンアクセス転換とPlan S原則に準拠した「転換契約」締結を支援するプロジェクトの成果物として報告書とツールキットを公開
Posted 2019年9月17日
https://current.ndl.go.jp/node/39036

cOAlition S、主要学術分野における研究成果オープンアクセス(OA)化の手段とPlan Sへの準拠状況に関する「ギャップ分析」の実施報告書を公開
Posted 2019年11月27日
https://current.ndl.go.jp/node/39601

OA価格の透明性に関する情報公開フレームワークの提案
Posted 2020年1月14日
https://current.ndl.go.jp/node/39948