2020年2月7日、cOAlition Sは、Plan S原則の要件を満たしたジャーナル・プラットフォーム等の「出版の場(publishing venue)」の特定を支援する研究者向けツール“Journal Checker Tool”について、その開発とメンテナンスのための「入札案内書(Invitation to Tender:ITT)」を公開したことを発表しました。
“Journal Checker Tool”は、研究者が自身の研究機関や資金助成団体を選択の上、特定の雑誌名を入力すると、その雑誌が資金助成団体のオープンアクセス(OA)方針に準拠しているかどうか、準拠している場合にはPlan S原則準拠のために用意された4つの方法のうちどの方法でOA可能かを容易に識別できるツールとして想定されています。cOAlition Sは“Journal Checker Tool”について、Plan S原則の効力発生がこれ以上遅れることがないように段階的アプローチを採用するとしており、まずは以下の3点を満たす「出版の場」を特定することに重点を置いています。
・「Plan Sの実現にかかる手引き」で規定されたPlan S原則準拠のための方法を提供していること
・Plan S原則の対象となる全ての研究者にCC BYで研究成果物を公表する選択肢を提供していること
・著者の研究成果物への著作権保持を許容していること
出版倫理委員会(COPE)のガイドラインへの準拠表明、透明性のある価格設定といったPlan S原則準拠に関するその他の全ての要件は、2021年中に段階的に“Journal Checker Tool”へ追加される、としています。
“Journal Checker Tool”の入札への参加に関心がある組織やコンソーシアムは、2020年4月6日までに申し込みする必要があります。 “Journal Checker Tool”は2020年9月にまずベータ版が、11月に正式版が利用可能になる予定です。
cOAlition S invites qualified providers to develop a Plan S Journal Checker tool(cOAlition S,2020/2/7)
https://www.coalition-s.org/journal-checker-tool-tender/
An online tool to determine Plan S aligned publishing venues: an invitation to tender [PDF:14ページ](cOAlition S)
https://www.coalition-s.org/wp-content/uploads/ITT_vf_07022020.pdf
参考:
Science Europe、研究成果物の完全で即時のオープンアクセスを実現するための公的助成機関によるイニシアチブ“cOAlition S”の開始を発表
Posted 2018年9月6日
https://current.ndl.go.jp/node/36610
Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
https://current.ndl.go.jp/node/38293
cOAlition S、主要学術分野における研究成果オープンアクセス(OA)化の手段とPlan Sへの準拠状況に関する「ギャップ分析」の実施報告書を公開
Posted 2019年11月27日
https://current.ndl.go.jp/node/39601
cOAlition S、“Transformative Journals”の枠組み案を公開:フィードバックを募集中
Posted 2019年11月27日
https://current.ndl.go.jp/node/39602
cOAlition S、Plan S原則への準拠状況を確認するために必要なデータに関する委託調査の報告書を公開
Posted 2020年2月13日
https://current.ndl.go.jp/node/40234