Center for Open Science(COS)提供サービスを利用するリポジトリが直面する苦境(記事紹介)

2020年1月13日付けのNature誌オンライン版記事で、非営利団体Center for Open Science(COS)が提供するサービスを利用している複数のプレプリントサーバ・リポジトリが、同団体が導入した利用料金が払えず、閉鎖や別サービスへの移転等を検討する事態になっていることが報じられています。

COSは主題リポジトリ、地域別リポジトリなど26のリポジトリをホスティングしていますが、各リポジトリの運用者に対し、2020年から投稿数に応じて利用料金を導入することを通知していました。この料金の負担が、特にボランティアベースで運営されている途上国等のリポジトリ等には重くのしかかっているとのことです。すでにインドネシアからのプレプリントを受け付けるINA-Rxivは資金調達に失敗し、終了日はまだ定まっていないものの、運営者はサービス停止を決定したとされています。INA-Rxivは16,500本以上のプレプリントや会議録掲載論文が公開されている、COSがホストするプレプリントサーバの中でも特によく使われているもののうちの一つでした。

そのほかにもIndiaRxiv(インド)やArabiXiv(アラビア語)等の地域・言語別リポジトリも資金調達の問題に直面しているとのことです。また、他のプラットフォームへの移転を検討・決定するリポジトリも現れています。INA-Rxivも、インドネシア独自のリポジトリプラットフォームの立ち上げを検討しているとのことです。

Popular preprint servers face closure because of money troubles(Nature、2020/2/13付け)
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00363-3

参考:
図書館情報学分野のLISSAを含む6つのプレプリントサービスが公開
Posted 2017年9月1日
https://current.ndl.go.jp/node/34602

Center for Open Science(COS)、インド初のプレプリントサービスとして“IndiaRxiv”を立ち上げ
Posted 2019年8月14日
https://current.ndl.go.jp/node/38792