Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期

2019年5月31日、Coalition Sは、Plan Sの実現にかかる手引き“Guidance on the Implementation of Plan S”の改訂を発表しました。

この改訂は2019年2月まで募集していた同手引きへのフィードバックを受けて行われたものです。エンバーゴなしの即時・完全なオープンアクセス(OA)化、完全なOA化はCC BYライセンスによる実施を原則とする、ハイブリッドOAは支持しない、等の基本的な原則に変更はありませんが、手引きについて、以下のような変更が提示されています。

・研究者、機関、出版社、リポジトリ等がPlan S原則に対応するための準備期間を得られるように、効力の発生日を2020年1月1日から2021年1月1日へ延期
・購読(Subscription)モデルのジャーナル出版社へOA化を促す転換契約(Transformative Agreements)のための資金提供を2024年まで実施
・転換契約について、中小規模出版社向けの新しい転換モデルとしてTransformative Model Agreementsの開発、購読モデルのジャーナルがOAのコンテンツを増やしながら定められた期間内に徐々に完全OAへ移行するTransformative Journalsの枠組みの考慮に言及
・即時・完全なOAについては、OAジャーナル・OAプラットフォーム上での公開、購読モデルのジャーナルに投稿した論文のリポジトリ上での公開、転換契約下にある購読モデルのジャーナルでOA化し公開、の3通りの方法を支持することを明記
・研究評価に関するサンフランシスコ宣言(San Francisco Declaration on Research Assessment:DORA)への支持等、研究成果物自身を重視する姿勢の明記
・OA出版料の透明性確保のための継続的なモニタリングを実施し、合理的でない価格設定については支払上限を設定する可能性への言及
・OAリポジトリに要求される技術的な要件の改訂

cOAlition S Releases Revised Implementation Guidance on Plan S Following Public Feedback Exercise(Coalition S,2019/5/31)
https://www.coalition-s.org/revised-implementation-guidance/

Rationale for the Revisions Made to the Plan S Principles and Implementation Guidance(Coalition S,2019/5/31)
https://www.coalition-s.org/rationale-for-the-revisions/

参考:
Coalition S、Plan Sの実現にかかる手引きへのフィードバックを受けて声明を発表:フィードバックの分析結果を2019年春に公表予定
Posted 2019年2月26日
http://current.ndl.go.jp/node/37660

cOAlition S、Plan Sの要件を満たすための手順をまとめた手引きを公表:フィードバックを募集中
Posted 2018年11月29日
http://current.ndl.go.jp/node/37124

Science Europe、研究成果物の完全で即時のオープンアクセスを実現するための公的助成機関によるイニシアチブ“cOAlition S”の開始を発表
Posted 2018年9月6日
http://current.ndl.go.jp/node/36610

欧州研究図書館協会(LIBER)、研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)に署名
Posted 2014年11月17日
http://current.ndl.go.jp/node/27451