2019年12月17日、Springer Nature社は、cOAlition Sが公開した“Transformative Journals”(転換雑誌)枠組み案について、公開書簡(Open Letter)により懸念事項を指摘したフィードバックを行ったことを発表しました。
同社は公開書簡の中で、cOAlition Sが示した枠組み案のうち、年間8%のオープンアクセス(OA)率の成長、OAコンテンツが50%に達した時点で完全OA雑誌に切り替えるといった数値目標が現実的ではないこと、論文処理費用(APC)の免除に関する要件が雑誌の持続可能性を損なうことなどを指摘し、これらの要件の変更がなければ出版社が枠組み案に参加するのは難しいと表明しています。
cOAlition Sは同日付でSpringer Nature社の公開書簡への応答をウェブサイトに掲載しています。この応答の中では、公開した枠組み案は草案であり2020年1月6日までの利害関係者からのフィードバックに基づいて改めて検討することなどが表明されています。同社による数値目標が現実的ではないという懸念については、Europe PMCに収録された同社のOA誌“Nature communications”掲載論文の過去数年のデータを用いて、現実的に実現可能な数値目標であると反論しています。
Alternative conditions needed in order for cOAlition S’s proposal for Transformative Journals to succeed(Springer Nature,2019/12/17)
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/alternative-conditions-needed/17508260
An Open Letter Following The Consultation On Transformative Journals [PDF:4ページ](Springer Nature)
https://media.springernature.com/full/springer-cms/rest/v1/content/17508244/data/v4
cOAlition S response to Springer Nature’s Open Letter on Transformative Journals(cOAlition S,2019/12/17)
https://www.coalition-s.org/coalition-s-response-to-springer-natures-open-letter-on-transformative-journals/
cOAlition S reaction to Springer Nature’s Open Letter on Transformative Journals(cOAlition S)
https://www.coalition-s.org/coalition-s-reaction-to-springer-natures-open-letter-on-transformative-journals/
参考:
cOAlition S、“Transformative Journals”の枠組み案を公開:フィードバックを募集中
Posted 2019年11月27日
https://current.ndl.go.jp/node/39602
Science Europe、研究成果物の完全で即時のオープンアクセスを実現するための公的助成機関によるイニシアチブ“cOAlition S”の開始を発表
Posted 2018年9月6日
https://current.ndl.go.jp/node/36610
cOAlition S、Plan Sの要件を満たすための手順をまとめた手引きを公表:フィードバックを募集中
Posted 2018年11月29日
https://current.ndl.go.jp/node/37124
Coalition S、Plan Sの実現にかかる手引きへのフィードバックを受けて声明を発表:フィードバックの分析結果を2019年春に公表予定
Posted 2019年2月26日
https://current.ndl.go.jp/node/37660
Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
https://current.ndl.go.jp/node/38293