「転換雑誌」についての初期評価:cOAlition Sによる分析(記事紹介)

cOAlition Sは、2021年8月16日付けの記事“Transformative Journals: an initial assessment”において、Plan Sに準拠した「転換雑誌」(Transformative Journal)についての初期評価を行っています。筆者は、cOAlition Sの戦略責任者(Head of Strategy)を務めるRobert Kiley氏です。

「転換雑誌」とは、完全オープンアクセス(OA)誌への移行を約束している購読/ハイブリッド誌を指し、その条件として、OAコンテンツの割合を徐々に増加させること、二重支払いの回避のために購読料収入と出版サービスへの支払いを相殺することが求められています。Plan Sにおいて、出版社に即時オープンアクセス(OA)への移行を促すルートとして開発されました。

cOAlition Sではこの「転換雑誌」を認定・登録するプログラムを行っており、登録された学術誌のリストを公開しています。正式な「転換雑誌」基準の公開から16か月が経過し、13の出版社と2,268の学術誌がこのプログラムに登録した、と述べています。

本記事では、このような状況を踏まえて、出版社によるプログラムの利用状況と、登録出版社から提供された初期データの分析を実施しています。分析では、データ収集において改善すべき点がみられることや、各出版社がOAへの移行において大きく異なる地点にあることに言及しています。また、cOAlition Sでは「転換雑誌」の監視を続けることを強調し、出版社が必要なデータを提供しない場合や「転換雑誌」に求められるKPIを達成しない場合、当該出版社の「転換雑誌」プログラムへの継続参加可否を検討するとしています。

Transformative Journals: an initial assessment(cOAlition S, 2021/8/16)
https://www.coalition-s.org/blog/transformative-journals-an-initial-assessment/

関連:
Plan S compliant Transformative Journals(cOAlition S)
https://www.coalition-s.org/plan-s-compliant-transformative-journals/
※Plan Sに準拠した「転換雑誌」のリストを公開しているウェブページです。

参考:
cOAlition S、学術出版社・学協会等のフィードバックを反映した“Transformative Journals”の枠組み最終版を発表
Posted 2020年4月9日
https://current.ndl.go.jp/node/40740

Springer Nature社、Plan Sに準拠した「転換雑誌」2誌を2022年に創刊
Posted 2021年3月23日
https://current.ndl.go.jp/node/43624

CA1977 – 動向レビュー:学術雑誌の転換契約をめぐる動向 / 尾城孝一
カレントアウェアネス No.344 2020年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1977

CA1990 – 動向レビュー:プランS改訂版発表後の展開―転換契約等と出版社との契約への影響 / 船守美穂
カレントアウェアネス No.346 2020年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1990