OA価格の透明性に関する情報公開フレームワークの提案

2020年1月14日、ウェルカム財団とUK Research and Innovation(UKRI)の助成を受けてInformation Power社が実施した、オープンアクセス(OA)価格の透明性に関する調査の最終報告が公開されました。この報告の中ではOAに関する価格の透明性について、出版者が公開するべき情報のフレームワーク案も提案されています。

Information Power社は研究助成機関・図書館・コンソーシアム等を主な顧客とするコンサルティング会社です。今回の調査はPlan Sの実践に向けて、cOAlition Sを代表してウェルカム財団とUKRIが同社に委託したものでした。報告では図書館員や研究者・出版者・助成機関を対象とする質問紙調査や、その結果を踏まえてのワークショップ等の結果に基づき構築された、価格の透明性に関するフレームワークが提案されています。

このフレームワークは雑誌を単位とし、(1) ISSNや論文DOI、対象分野等の基礎的情報、(2) 年間公開論文数、採択率、投稿から最初の査読結果が出るまでの期間の中央値、年間の総ダウンロード数等の雑誌についてのより詳細な情報、(3) 価格設定に占める各業務の割合(合計が100%以下になるように算出)の3つのセクションから構築されます。

ウェルカム財団のOpen Research部門長で、cOAlition Sの暫定コーディネーターでもあるRobert Kiley氏は、「このパイロットプロジェクトの結果に基づき、このフレームワークの使用法、あるいは見直しについて検討していく」としています。

Recommendations for transparent communication of Open Access prices and services(Information Power、2020/1/14付け)
https://www.informationpower.co.uk/recommendations-for-transparent-communication-of-open-access-prices-and-services/

Final report price transparency project(Information Power)
https://www.informationpower.co.uk/final-report-price-transparency-project/

OA price and service transparency project(figshare)
https://figshare.com/s/f54b653775febea02a11

参考:
Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
https://current.ndl.go.jp/node/38293

cOAlition S、“Transformative Journals”の枠組み案を公開:フィードバックを募集中
Posted 2019年11月27日
https://current.ndl.go.jp/node/39602

cOAlition S、主要学術分野における研究成果オープンアクセス(OA)化の手段とPlan Sへの準拠状況に関する「ギャップ分析」の実施報告書を公開
Posted 2019年11月27日
https://current.ndl.go.jp/node/39601

学会・専門協会出版協会(ALPSP)、学会系出版社の即時オープンアクセス転換とPlan S原則に準拠した「転換契約」締結を支援するプロジェクトの成果物として報告書とツールキットを公開
Posted 2019年9月17日
https://current.ndl.go.jp/node/39036

※記事本文の誤記(誤:cOAliton S → 正:cOAlition S)を修正しました。(2020/1/16)