2020年1月20日、著作物の教育利用に関する関係者フォーラムは、「改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理」を公表したことを発表しました。
2018年5月に公布された改正著作権法第35条では、教育機関が授業で著作物の公衆送信を許諾なしに実施する代わりに、教育機関の設置者が著作権者に補償金を支払う「授業目的公衆送信補償金制度」が盛り込まれ、公布から3年以内の2021年5月までに開始することになっています。著作物の教育利用に関する関係者フォーラムは、教育関係者・有識者・権利者で構成され、「授業目的公衆送信補償金制度」の実施に先立ち、教育現場に円滑な著作物の利用環境を整備・実現するための議論を行っています。2018年11月以降、文化庁・文部科学省の助言を受けながら、「補償金」「ガイドライン」「ライセンス」などをテーマとして計22回のフォーラムが開催されています。
公表された「論点整理」は教育現場での著作物の円滑な利用に必要な運用指針の基本となることが意図されており、「授業」「学校その他の教育機関」など、第35条の用語の定義に関してこれまでのフォーラムの意見交換の中で共通認識が得られた事項が公表されています。同フォーラムは、今後も共通事項が得られた事項については順次公表していく、としています。
また、「論点整理」とは別に、過去のフォーラムにおける教育関係者・有識者・権利者の意見(要旨)の一部を文化庁の法解釈とともに整理した「論点整理検討過程におけるフォーラムでの意見等の概要」も併せて公表されています。
「改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理」の公表について(著作物の教育利用に関する関係者フォーラム,2020/1/20)
https://forum.sartras.or.jp/info/003/
改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理 [PDF:15ページ] (著作物の教育利用に関する関係者フォーラム)
https://forum.sartras.or.jp/wp-content/uploads/rontenseiri.pdf
「論点整理」検討過程におけるフォーラムでの意見等の概要 [PDF:8ページ] (著作物の教育利用に関する関係者フォーラム)
https://forum.sartras.or.jp/wp-content/uploads/rontenseirigaiyo.pdf
参考:
デジタル化・ネットワーク化の進展や障害者の情報アクセス機会の拡充等に対応した改正著作権法が成立
Posted 2018年5月23日
http://current.ndl.go.jp/node/36038
文化庁、「改正著作権法第104条の13 第1項の規定に基づく「授業目的公衆送信補償金」の額の認可に係る審査基準及び標準処理期間(案)」へのパブリックコメントを実施中
Posted 2018年10月15日
https://current.ndl.go.jp/node/36821
文化庁、授業目的公衆送信補償金に係る指定管理団体として「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)」を指定
Posted 2019年2月19日
https://current.ndl.go.jp/node/37605
【イベント】2018年度第5回千葉大学アカデミック・リンク/ALPSセミナー「高等教育における著作物の利用促進とそれを支援する体制」(3/18・千葉)
Posted 2019年2月20日
https://current.ndl.go.jp/node/37611