米・テキサス工科大学のプロジェクトチームが米国科学財団(NSF)の助成によりハゲタカジャーナルと信頼のおけるジャーナルを見分けるための教育プログラム開発に着手

2019年9月25日、米・テキサス工科大学は、同大学のメディア&コミュニケーション・カレッジで管理部門と財務部門のAssociate Deanを務めるAmy Koerber教授らのプロジェクトチームが、ハゲタカジャーナルと信頼のおけるジャーナルを見分けるための教育プログラム“STEM Training in Ethics of Publication Practices(STEPP)”開発に着手することを発表しました。

同プログラムの開発にあたって、Koerber教授、及びテキサス工科大学所属教員4人で構成されるプロジェクトチームは、米国科学財団(NSF)から34万5,702ドルの助成金を獲得しています。助成金を活用しながらSTEM分野の最新の出版慣行を調査し、教育プログラムを開発する、としています。

プログラムの開発は3つのフェーズで行われ、最初のフェーズでは学術出版の基準に関連して様々な組織が公開している、ブラックリスト・ホワイトリスト・倫理規定のレビューが実施されます。続くフェーズでは、STEM分野の教員・研究者や研究機関の管理担当者、科学ジャーナリストらへのインタビューを通して、利害関係者がハゲタカ出版に関して知っていることや研究者がどのようにしてハゲタカ出版に騙されるのかについての理解の深化が行われます。この2つのフェーズで得られたデータをもとに、ハゲタカ出版とは何か、どのように対処可能かの指針として、世界中の研究者が活用なオンライン教育プログラムを開発予定である、としています。

このプロジェクトはSTEM分野に焦点を当てた内容ですが、Koerber教授は開発予定の教育プログラムは他分野の所属者や学術出版に直接携わらない者にとっても有意義な内容であり、プログラムを通して公開・参照される論文の正当性向上が期待できるため、学術情報の消費者にも有益なものである、と述べています。

Professors Receive NSF Grant to Develop Training for Recognizing Predatory Publishing(Texas Tech University,2019/9/25)
https://today.ttu.edu/posts/2019/09/Stories/koerber-predatory-publishing

Standard: STEM Training in Ethics of Publication Practices (STEPP)(NSF)
https://www.nsf.gov/awardsearch/showAward?AWD_ID=1926348&HistoricalAwards=false

参考:
CA1960 – ハゲタカジャーナル問題 : 大学図書館員の視点から / 千葉 浩之
カレントアウェアネス No.341 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1960

日本医学会、「悪徳雑誌への注意喚起について」を発表
Posted 2019年3月12日
https://current.ndl.go.jp/node/37762

京都大学図書館機構、ハゲタカ出版に注意を促すリーフレットを日英2バージョンで公開
Posted 2019年2月4日
https://current.ndl.go.jp/node/37519