2019年5月10日、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)は、2018年度にSPARC Japan運営委員会と共同で実施した論文公表実態調査の調査結果を公開したことを発表しました。
同調査は、Web of Science(WoS)から2017年に抽出した、日本の機関に所属する著者が2012年から2016年に発表した論文のデータと、各出版社の価格表やDOAJ (Directory of Open Access Journals)のデータを参照して作成したAPC価格リスト等を用いて、日本の研究機関に所属する研究者の公表論文数・オープンアクセス(OA)率・APC支払推定額を調査したものです。
公表された報告書では調査結果として、公表論文数・OA論文数・APC支払推定額の出版社別・雑誌別・著者所属機関別の集計結果が示されており、APC支払状況の規模感の把握や雑誌購読額の把握によって、今後の新たな契約モデル検討にあたって活用できるものである、としています。
また、調査に関しては、分野別集計、ハイブリッドOA論文とブロンズOA論文(著者の意思とは関係なく出版社のサイトで無料公開されているが、OA ライセンスが付与されていない論文)の区別、APC価格の正確な把握などの課題があるものの、国内のOA論文公表状況の概況把握に有用であることから2019年度以降も継続して調査を行う予定である、としています。
なお、JUSTICE会員館には、同調査に関してより詳細な報告書と詳細データが提供されています。
論文公表実態調査の結果を公開しました(JUSTICE,2019/5/10)
https://www.nii.ac.jp/content/justice/news/2019/20190510.html
論文公表実態調査報告2018 年度(公開版) [PDF:12ページ] (JUSTICE)
https://www.nii.ac.jp/content/justice/documents/2018_ronbunchosa.pdf
参考:
JUSTICEのOA2020ロードマップが公開される
Posted 2019年3月28日
http://current.ndl.go.jp/node/37893
国立大学図書館協会、プレスリリース「大学における学術雑誌購読の危機的状況が深刻化」を公表
Posted 2018年1月19日
http://current.ndl.go.jp/node/35335
E1579 -日本におけるOAジャーナル投稿とAPC支払いをめぐる調査
カレントアウェアネス-E No.262 2014.07.10
http://current.ndl.go.jp/e1579