単なる“金もうけ”の疑いのある、いわゆる「ハゲタカ出版」のリストを掲載している米国コロラド大学デンバー校図書館のJeffrey Beall氏のブログ“Scholarly Open Access”は、2017年1月15日以降、当該リストも含めてコンテンツが全て削除されています。Beall氏は、その理由を明らかにしていません。
コロラド大学デンバー校の広報担当者によると、この決定はBeall氏自身が行ったものであり、Beall氏は引き続き同大学の教員として雇用されているとのことです。
テキサス州ボーモントにある学術サービス会社のCabell’s Internationalは、Beall氏をコンサルタントとして雇い、雑誌のブラックリストを作成し今春公開予定ですが、今件に関与していないとtwitter上で回答しています。また、同社のビジネス開発担当副社長は、「Beall氏は政治的法的理由からブログを削除することを余儀なくされた」とツイートしています。過去にBeall氏は、インドに本拠を置くOMICS Groupなど一部の出版社から法的手段に出ると脅されていました。
Why did Beall’s List of potential predatory publishers go dark?(Retraction Watch, 2017/1/17)
http://retractionwatch.com/2017/01/17/bealls-list-potential-predatory-publishers-go-dark/
No More ‘Beall’s List’(Inside Higher Ed, 2017/1/18)
https://www.insidehighered.com/news/2017/01/18/librarians-list-predatory-journals-reportedly-removed-due-threats-and-politics#.WIBTtI8PgOp.twitter
Controversial website that lists ‘predatory’ publishers shuts down(Nature, 2017/1/18)
http://www.nature.com/news/controversial-website-that-lists-predatory-publishers-shuts-down-1.21328?WT.ec_id=NEWSDAILY-20170118
参考:
ハゲタカ出版等に対抗する企業間連合CRPR立ち上げへ
Posted 2016年5月17日
http://current.ndl.go.jp/node/31609
学術出版の世界で成長を続ける闇経済 DOIを模した識別子”SOI”まで登場(記事紹介)
Posted 2016年1月26日
http://current.ndl.go.jp/node/30545
ラテンアメリカにおけるオープンアクセス Jeffrey Beall氏への反論(記事紹介)
Posted 2015年9月1日
http://current.ndl.go.jp/node/29331
「そのメーリングリストから私を外せ」と繰り返し書かれているだけの論文が受理される
Posted 2014年11月25日
http://current.ndl.go.jp/node/27497
単なる“金もうけ”の疑いのあるオープンアクセス出版社のリスト(2014年版)
Posted 2014年1月7日
http://current.ndl.go.jp/node/25205
単なる“金もうけ”の疑いのあるオープンアクセス出版社のリスト(2013年版)
Posted 2012年12月10日
http://current.ndl.go.jp/node/22481