研究助成審査に根強く残る人種バイアス マイノリティの研究者は助成審査が通りにくい(米国)

2015年11月17日付けのNature誌ニュース記事で、”Racial bias continues to haunt NIH grants”と題し、米国国立衛生研究所(NIH)の研究助成審査に根強く残る人種バイアスの問題を取り上げています。

NIHは生命医学分野の研究助成を担っており、生命医学系では世界最大の助成額を支出する機関とされています。Nature誌の記事ではこの研究助成の審査について、カリフォルニア大学の二人の研究者が、米国の情報公開法に基づいて請求・取得した過去約30年分のデータが紹介されています。

このデータによれば、1985年以来過去一貫して、アフリカ系やハワイ系、アジア系、ネイティブアメリカン等のマイノリティの研究者による助成申請は、白人や人種の入り混じった研究者による申請に比べ通りにくい傾向が続いているとされています。この間、助成審査の審査員にマイノリティの研究者を増やす等の取り組みが試みられていますが、効果が上がっているとは言えないとのことです。

Racial bias continues to haunt NIH grants(Nature、2015/11/17付け)
http://www.nature.com/news/racial-bias-continues-to-haunt-nih-grants-1.18807

参考:
CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤翔 カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1829