「査読なんか怖くない?」 Science誌にオープンアクセス雑誌の査読に関する実験報告

2013年10月4日付けのScience誌の記事で、304のオープンアクセス雑誌を対象にした、査読に関する実験の結果が報告されています。

同記事執筆者のJohn Bohannon氏はScience誌編集部と共同で、高校生レベルの化学に関する知識があれば気づくような過ちを含んだ偽論文を作成し、架空の著者名・所属を用いて、304のオープンアクセス雑誌に投稿しました。これらの雑誌はすべて論文出版加工料(APC)を著者に要求するもので、それぞれ異なる出版者から刊行されています。

実験は2013年1月から8月にかけて行われ、304の対象誌のうち半数を超える157誌が、偽の論文を受理したとのことです。論文を受理した雑誌の出版者の中にはElsevier、Sageなどの大手商業出版者も含まれています。一方で、オープンアクセス出版者として知られるHindawiの雑誌や、オープンアクセス雑誌最大手であるPLOS ONEは偽論文を却下していました。

記事の中では実験手法の詳細のほか、論文を受理した雑誌の編集者や出版者のコメント等も紹介されています。また、「American」等と雑誌名に冠しながらメールの発信元が異なる地域にある出版者の例や、雑誌の説明が他の雑誌からのコピー&ペーストである例なども指摘するなど、査読に限らない問題提起がなされています。

Who’s Afraid of Peer Review?(2013/10/4付け、Science)
http://www.sciencemag.org/content/342/6154/60.full

参考:
わざと投稿された無意味な論文を受理してしまったOA誌の編集長辞任
http://current.ndl.go.jp/node/13264