2013年3月19日、米国連邦最高裁判所が、Kirtsaeng v. John Wiley & Sons裁判に関して、原告のWiley社の訴えを退ける判決を下したようです。
同裁判は、Wiley社が、同社の教科書の廉価なアジア版を米国に輸入して販売していたタイ人男性を著作権侵害で訴えていたものです。ここでは、国外で印刷された図書にファーストセールドクトリン(合法的に入手したものは著作権者の許諾なく販売・貸出できる)が適用されるかどうかが争点となり、その行方は図書館の貸出サービスにも影響が出るとされ、注目されていました。今回、最高裁からはファーストセールドクトリンが適用されるという判断がなされました。
判決に関して図書館界、出版界の双方からコメントが出ており、例えばLibrary Copyright Allianceは、「図書館と利用者にとっての完全勝利」だとしています。
Supreme Court Rules in Kirtsaeng v. Wiley: “First Sale Doctrine Applies to Copies of Copyrighted Work Lawfully Made Abroad”(LJ INFOdocket 2013/3/19付け記事)
http://www.infodocket.com/2013/03/19/supreme-court-rules-in-kirtsaeng-v-wiley-first-sale-doctrine-applies-to-copies-of-copyrighted-work-lawfully-made-abroad/
参考:
Kirtsaeng v. John Wiley & Sons裁判、米連邦最高裁で口頭弁論が行われる
http://current.ndl.go.jp/node/22217
米国で所有者の権利を保護する“Owners’ Rights Initiative”が誕生、図書館界からALAやARLも加盟
http://current.ndl.go.jp/node/22152
国外で印刷された図書の貸出が可能かどうかを巡る米裁判、Library Copyright Allianceが最高裁に法定助言書を提出
http://current.ndl.go.jp/node/21292
米国の裁判所、国外で印刷された図書は著作権者の許諾なく貸出・販売できないとの判決
http://current.ndl.go.jp/node/19011